『種子のデザイン』

2015年9月10日

『種子のデザイン』

『種子のデザイン』
岡本素治、小林正明、脇山桃子 著
佐治康生 写真
LIXIL出版

こんなにクローズアップされて、主役級に美しい写真を撮ってもらった種たちというのは今までいるのだろうか。
種だけ。葉っぱもお花もなし。
「主役級」じゃなくて、種が「主役」の本。

何年か前に受けた、農学部の授業で、
葉っぱは排泄するところ、
花は鳥や蝶、虫たちを誘う、いわば生殖器であると教授が言っていた。
え、そんな身も蓋もないことを。

では、種は?
花がしぼみ、葉が枯れても、種は残る。おまけに種は旅をする。大切な子孫を残すために。

植物たちは考えた。
みずからは動けないこのからだ。どうやって運ばれ、未知の世界に子孫をひろげ、残そうか。

その手段に沿って、さまざまな植物の種のデザインが紹介されている。
・風に乗って旅をする
・漂流する冒険者たち
・動物との巧みな駆け引き
それぞれの種に添えられたコピーも洒落ている。

ドングリのページには、
『隠し忘れが狙いのドングリ』とある。
さて、誰の隠し忘れなのか気になる方は、ぜひこの本を開いてみてください。

真四角の本、写真の配置、フォントと文字の大きさが活きた絶妙なコピー。
研究者によるわかりやすい説明としっかりした解説、おもしろいコラム。
とてもスタイリッシュな本なので、ペラペラ見るだけになるかと思いきや、
そのまま没頭して読み込んでしまった。

この中のいくつの種に、生きているうちに出会えるのだろう。

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