『ウィリアム・モリスの庭 デザインされた自然への愛』

2011年5月30日

ウィリアム・モリスの庭『ウィリアム・モリスの庭
 デザインされた自然への愛』
ジル・ハミルトン/ペニー・ハート/ジョン・シモンズ 著
鶴田静 訳
東洋書林

アーツ・アンド・クラフツ運動で知られるウィリアム・モリス。装飾芸術、詩、文学など、彼が創り出した数々の芸術作品には、実にさまざまな植物が登場する。モリスの生い立ち、生活、著作物、書簡、作品、デザイン運動を丁寧にひもとき、抱負な写真や図柄を用いながら、モリスが抱いていた庭園デザインの見解、自然や植物への愛情をまとめた一冊。

前半の「モリスとその庭」は、モリスの伝記風に展開され、自然への愛情がはぐくまれた背景や、自然とともに暮らす彼の生き方が綴られる。「家と庭を統一する、地域の独自性を保つ、素朴な花を植える、現存する木を残して調和させる」など、モリスの考える8ケ条の庭園デザインの原則には、植物への接し方でさえ流行や消費に溺れがちな我々は、背筋が伸びる思いがする。自然を観察することのできる目を持つことの大切さ、ほんとうに美しい自然、植物とは・・・。

後半の「ウィリアム・モリスの植物」では、モリスの作品のモチーフとして登場する植物の名称、特徴、写真ともに、それぞれのモチーフのテキスタイルが対比して掲載されている。モリスのデザインに美しく配された植物たちが、いきいきとした生命感に満ちていることに改めて気づく。

巻末にはモリスの家と場所の紹介もあるのが嬉しい。英国へ出かけたついでにモリスの精神にふれるのもよい。

You can leave a comment, or trackback from your own site.

0 Comments

You can be the first to comment!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>

WP-SpamFree by Pole Position Marketing