『ウィリアム・モリスの庭
デザインされた自然への愛』
ジル・ハミルトン/ペニー・ハート/ジョン・シモンズ 著
鶴田静 訳
東洋書林
アーツ・アンド・クラフツ運動で知られるウィリアム・モリス。装飾芸術、詩、文学など、彼が創り出した数々の芸術作品には、実にさまざまな植物が登場する。モリスの生い立ち、生活、著作物、書簡、作品、デザイン運動を丁寧にひもとき、抱負な写真や図柄を用いながら、モリスが抱いていた庭園デザインの見解、自然や植物への愛情をまとめた一冊。
前半の「モリスとその庭」は、モリスの伝記風に展開され、自然への愛情がはぐくまれた背景や、自然とともに暮らす彼の生き方が綴られる。「家と庭を統一する、地域の独自性を保つ、素朴な花を植える、現存する木を残して調和させる」など、モリスの考える8ケ条の庭園デザインの原則には、植物への接し方でさえ流行や消費に溺れがちな我々は、背筋が伸びる思いがする。自然を観察することのできる目を持つことの大切さ、ほんとうに美しい自然、植物とは・・・。
後半の「ウィリアム・モリスの植物」では、モリスの作品のモチーフとして登場する植物の名称、特徴、写真ともに、それぞれのモチーフのテキスタイルが対比して掲載されている。モリスのデザインに美しく配された植物たちが、いきいきとした生命感に満ちていることに改めて気づく。
巻末にはモリスの家と場所の紹介もあるのが嬉しい。英国へ出かけたついでにモリスの精神にふれるのもよい。
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