『英国ガーデニング物語』
チャールズ・エリオット 著
中野春夫 訳
集英社
編集者として活躍していたアメリカ人ジャーナリストが英国に移り住んで10年、英国の田園での園芸生活を経て書き上げたエッセイ。原題の『The Transplanted Gardener』で、自らを英国に『移植』されたガーデナーと表現している。外国人である著者自身が英国のガーデニング事情、英国に自然にローカライズされていったことを感じさせるタイトルである。
外国人でありながら、ひょっとすると英国人以上に英国、英国の田園を愛し、理解を示す著者によるこのエッセイは、英国でたいへんな好評を呼んだ。それは、外国人ならではの新鮮な驚きや発見というだけではなく、ジャーナリストならではの視野の広いものの見方、鮮やかな切り口、ユーモアあふれた分析によるものであろう。
雨の降り方(英国には『園芸の天気予想術』なんていう本まであるらしい!)、バラ、庭園見学、貴族趣味、道具にまつわる話しから始まり、英国の園芸まわりの著名人、英国の庭園考まで、英国の園芸の歴史と英国の田園文化、英国人についてのエッセンスがぎっしりと詰め込まれた一冊。
この本を読んで、英国人の園芸や田園への並々ならぬ思いのたくましさ、奥深さには到底おいつけまい、とため息をつくと同時に深い愛情を感じてしまった人は、もしかしたら、次に移植されるべき園芸家なのかも。
0 Comments
You can be the first to comment!