あじさい

2011年7月16日

今年はたくさんの種類のアジサイを見る機会があった。現在、通っている大学に原種っぽいアジサイの鉢植えが何種類も並べられていたり、キャンパス内にもさまざまな種類のアジサイが植えられていて、花の色や形のちがいを楽しめた。

最近は、西洋アジサイも日本原種のアジサイも園芸品種が増えて、さまざまなものが目にできるし、育てる機会ができてうれしい。私の庭には、ガクアジサイとカシワバアジサイの2種類を植えている。どちらも華やかさには欠けるけれど、雨に濡れながら静かに満開になった様子を見ると、こころ和む。

せっかくたくさんのアジサイに出会えた年なので、少し調べてみようと思い立った。

アジサイの歴史は古く、日本では奈良時代から庭に植えられて観賞されていたらしい。万葉集にはアジサイにまつわるうたは2首ある。この時代は、『あじさい』という呼称とともに、俗名では『七変化』『よひら』などと呼ばれていたようだ。『七変化』はつぼみから花の終わりまで色の変化があるから、『よひら』はガクが4枚つくから。青い花が群れて咲くことから、『味狭藍』『集真藍』とも記載されたらしい。

アジサイはもとは日本原種のもので、現在公園などでよく見られる球状のものは、西洋アジサイ(ヒドランジア、ハイドランジア)という種類。原種のガクアジサイ Hydrangea macrophylla forma normalis は、周囲に花のように見えるガクがあり、中にたくさんの両性花が集まって咲く。

日本のガクアジサイは、鎌倉時代には園芸品種として一般の庭でも育てられていたようで、その頃に中国に渡ったようだ。私たちが慣れ親しんでいる『紫陽花』という記載は漢名で、中国では『堯球花』『八仙花』と呼ばれる。

その後、中国を経て1790年ごろにイギリスに持ち込まれた日本原種のガクアジサイは、品種改良されて西洋アジサイ Hydrangea macrophylla  Seringe として日本に戻ってきた。花色は土壌の酸度で赤や青に変化する。イギリスでは白茶けたピンクのアジサイが多かったような記憶がある。やはり、西洋アジサイなら、濃いきれいなブルーのものが好きだなぁ。

観賞用として楽しむイメージしかないアジサイだが、調べてみたら薬効もあった。民間療法では解熱に花を用いてきたそうだ。球状、毬状のまま切り取った花を天日干しか陰干し(書籍によって異なる)して、または枯れた花を刈り取って煎じて飲むと効くらしい。

乾燥した花10グラムを300ccの水で半量になるまで煎じたものを1日3回に分けて飲むと、たくさんの汗が出ておだやかに熱が下がると書かれていた。また、藍色のアジサイは目の疲れを癒すのにも有効らしいが、飲むのか、目に当てるのかは書籍にも記載がなくて不明。

生薬としてもよく知られる『甘茶 アマチャ』は、アジサイと同じユキノシタ科の植物で、ヤマアジサイの甘みをもつものがアマチャとして使用されているらしい。アマチャは甘味剤として用いられたり、民間療法では胃弱の薬、濃く煎じた液は血液の循環をよくしてからだを温めるので海女たちが愛飲したそうだ。
『からだを温める』という効能はアジサイと共通するのだなと、面白かった。

<参考図書>
・「原色日本野外植物図譜2(夏・高山植物)」 奥山春季 誠文堂新光社
・「原色牧野大図鑑」 牧野富太郎 北隆館
・「花ものがたり」 池田香代子・伏見文男 毎日新聞社
・「花のくすり箱」 鈴木昶 講談社
・「身近な薬草 続」 大原準之助 風媒社
・「静岡県 身近な薬草」 上野明 静岡新聞社
・「花と日本人」 中野進 花伝社
・「薬草博物誌」 安田齊 東海大学出版会

今年出会ったさまざまなアジサイ(これでも一部)。


カテゴリ: 私的植物誌  |  0 Comments
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