「ボリジ」というと、お花の砂糖漬けがすぐに思い浮かぶ方が多いでしょうか。星形の青い花の色と形を封じ込めてきらきら光る砂糖漬けは、手づくりのお菓子に飾れば、いつものお菓子をよそゆき顔に変えてくれます。
マドンナブルーと呼ばれるこのブルーは、その昔ヨーロッパで、聖母マリアがまとう青いローブを描くときの色見本にされていたそうです。咲き始めの一時期はピンク色ですが、だんだん青色になる花。気品ある美しい色です。
ボリジは古代ギリシャの時代から、憂鬱な気持ちをとりはらって、勇気を与える薬とされていました。有名なのが、十字軍のエピソード。十字軍遠征の際、騎士たちはボリジの花を浮かべた杯を与えられたそうです。守護の力も持つと考えられていました。
■ ボリジの利用法と効能
葉っぱには効能があり、もちろん利用できます。若いボリジのハーブ・ティは副腎の強壮、または強心剤になり、ほかにも母乳の出をよくする効果もあります。入浴剤として使えば、肌をしっとりさせる効果があります。
また、こんな効き目も。恋に悩むときにはボリジ・ティを飲めば、高鳴る胸もおさまり、かなわぬ恋に涙する気持ちを鎮め、悲しみをやわらげてくれるとか。思春期時代にこんなハーブがひと鉢欲しかったですね。
このようにボリジは、悲しみを忘れさせ、元気な幸せな気分にしてくれるハーブとして、人々に愛されていました
まっすぐに伸びる中空(中が空洞)の茎につく丸みのある葉。ボリジの葉の香りをかいだことがありますか?こまかい毛、ときには痛いほどの毛で覆われた葉は、ほのかなキュウリのような香りがします。やわらかい若葉は、そのままサラダに入れたり、サンドイッチに使えます。お花もサラダに散らすときれい。エディブル・フラワーとして楽しんでください。
次々に咲かせる花を手軽に楽しむ方法は、凍らすこと。製氷皿に花を入れ、そっと水を注いで凍らせます。短命な花も氷の中ではきれいな色が長持ち。お客さまへの最初に涼みの一杯は、ボリジの花の氷が浮かぶ冷たい飲み物でおもてなし。透明なソーダー水に浮かべると細かいつぶつぶの気泡と花の青色がさらに涼しさを醸します。来年の夏は是非。
■ ボリジの育て方
ボリジは秋まきがおすすめのハーブ。種から育てやすいのも嬉しいです。秋にまくとボリジ本来の大きな株にしっかりと育ち、春にきれいな花をたくさん咲かせます。寒さにも強いので戸外で冬越しできます。
大きめの種は、じかまきOK。3粒ずつぐらいを目安に20センチほど離して種まきします。種は大きめですが、かぶせる土は5~10ミリぐらいと薄め。本葉が出そろったら、葉のこみあうところを間引き、本葉が数枚になったら、よさそうな苗を残して日当たりのよいところで育てます。
ボリジは大きく見事な株に育つので、なるべく広さのある所を選ぶことをおすすめします。土の好みは軽めの水はけのよい土。太陽が大好きです。大きく育ち始めたら、葉っぱはいつでも摘んで利用できます。花の咲く季節には、咲き終えた枝を切るとわきから新しい枝が伸びて、新しい花が次々と咲きます。花は短命。きれいな色のときにそっとガクからはずして、使います。
花にはミツバチが集まるので、果樹を育てている人には強い見方です。イチゴを間に植えると相性がよくお互いに元気に育ちます。トマトの近くに植えると害虫を防ぐ効果があります。
※このコラムは、毎日新聞社さんのサイトに「ハーブの横顔」という題で、2002~2005年に掲載させていただいたものです。
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