別名「ヘンルーダ」とも呼ばれるハーブ。虫よけの効果があることで知られています。香りの強い小枝を、食品を入れた棚や洋服だんすに吊るすと虫やハエよけになり、乾燥した葉を植物にまくと防虫効果があります。コンポストの近くに植えておくとハエよけになります。
ルーは、古代ローマ時代から魔よけのハーブとして信じられてきました。「悔恨のハーブ」「神の恵みのハーブ」とも呼ばれ、ハーブ・オブ・グレイスという別名もあるほどです。カトリックのミサの前に、ルーの枝から聖水をふりかけ悪魔をとりはらう習慣があったことから、「神の恵み」として扱われるようになったとか。
中世には狂気を治す方法として、真夜中に集めた夜露にルーを混ぜたものをふりかけたそうです。また、ルーには不幸をとりはらうおまじないもあり、家でルーを育てていると不幸とは無縁な生活が送れるともいわれます。
■ ルーの利用法と効能
目の疲れに薬効が期待できるハーブでもあります。ローマ時代には目を酷使する彫刻家たちが煎じ薬を飲んで目の疲れをいやし、レオナルド・ダ・ヴィンチもルーの煎じ薬を使っていたとか。中性の修道士たちは、細かい字の写本で疲れた目や頭痛を治すためにルーを常備していたともいわれます。葉で作った洗浄液は、目の疲れや視力低下防止に効くそうですが、香りが強くかぶれやすいので要注意。
葉や茎の浸出液を直接飲んだり塗ったりするのではなく、こんな方法はいかがでしょう。おなじないのようにも思えますが、効き目があるそうですよ。
・めまいや目の痛みをおさえるためにルーの枝を首まわりにかける
・頭痛がして記憶力が落ちているときには、ルーをお酢で洗って額にのせる
■ ルーの育て方
昔から大事にされてきたハーブなので、調べれば不思議な言い伝えや面白い使い方が次々にみつかりそうです。でも、園芸品種として育てるだけでも十分楽しめるきれいなハーブです。
まず嬉しいのが、耐寒性がある常緑の多年草であること。緑の少なくなる冬の間も青々とした葉が繁っています(極端に寒いと葉が落ちることもあります)。また、丸みのある葉やこんもりと繁る姿もとてもきれいです。特に「ブルーリーフ・ルー」という種類は、葉が青くてきれいで、寄せ植えに使うと映えます。
育てる場所は、日当たりと水はけのよい場所、土を選んで。庭植えも鉢植えもどちらにも向いています。50センチメートルから1メートルほどに育ちます。あまり大きくしたくない場合は、適宜、刈り込んでこんもりと育てるとよいです。増やし方は挿し木、挿し芽、種まきで。
イチジクの根元に植えるとお互いの生長を助けますが、逆にバジルとは相性が悪いので近くには植えないように気をつけて。
※このコラムは、毎日新聞社さんのサイトに「ハーブの横顔」という題で、2002~2005年に掲載させていただいたものです。
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