育てやすい 「月桂樹」

2012年6月13日

月桂樹日本名では「月桂樹」。英語で「ベイ」「ベイリーフ」「ローリエ」、フランス語で「ローレル」などと呼ばれています。月桂樹といえば、煮込み料理に欠かせないハーブとして、乾燥した葉をキッチンに常備されている方も多いのではないでしょうか。

または、「月桂冠」を連想される方もいらっしゃるでしょうか。月桂樹はギリシャ・ローマ時代から神聖視された樹木の一つで、その枝で作った冠は勝利と栄光のシンボルとして、勝者や優秀な者たちの頭上に掲げられました。イギリスでは、ワーズワースやテニソンなどの王室詩人に桂冠詩人の称号が与えられています。これらは、ギリシャ神話のアポロンとダフネの物語にちなんでいるといわれます。

この月桂樹、お庭やベランダで育てた生の葉を、乾燥したものと同じようにお料理に使うことができるのです。育てやすく、樹形も葉もきれいで、刈り込み方次第でガーデンシンボルにもなるし、なかなか園芸ごころを刺激してくれる樹木。一株持っておけば、お料理以外にももちろんいろいろに活用できます。

■ 月桂樹の利用法と効能

月桂樹の葉には、シネオールという芳香成分が多量に含まれています。この成分は、蜂さされ、リューマチや神経痛などに効きます。また、シネオールは唾液の分泌をうながして消化を助ける働きがあります。スープや煮込み料理に利用すると風味が素晴らしくなるだけでなく、消化器系に大きな効果をもたらし、肝臓や腎臓を強壮にする効果もあるのです。お風呂に入れると関節の痛みなどを和らげます。

剪定してたくさんの葉が収穫できたら、乾燥した葉を米びつの中に数枚入れておきましょう。この香りには防虫効果があります。タンスや引き出しに入れてもよいです。ただし、香りが薄れると効果も落ちるので、交換することを忘れないように。枝ごとたっぷりあるときは、リースにして壁にかけておきます。空気を新鮮にしてくれますし、乾いたものをサッと拭いてお料理にも使えます。細かく切った葉はポプリに。

ブーケガルニさて、お料理での月桂樹の使い方。
お店で乾燥したものを買うときは、賞味期限が新しく、葉の色が濃いものを選びます。少量ずつ購入して、できるだけ早く使い切ります。

幸運にもおうちに月桂樹の木がある方は、なるべく濃い色の葉を選び、2~3日乾かして使います。もちろん生のままでも大丈夫ですが、青臭さと苦味が多少ありますし、少し乾かすほうが香りが引き立ちます。

カレー、マリネ(ピクルス)など、葉をそのまま使うときは、葉をパリッと折って香りを出します。お料理が終わったら、お鍋から取り除きます。

シチュー、スープ、ソース用のブーケガルニは、月桂樹の葉+セロリ+タイム+パセリ、月桂樹の葉+ローズマリー+タイムなどに、あればポロネギをあわせてタコ糸でしばって作ります。パセリは、たくさん収穫できたときに葉をサラダにたっぷりと使い、茎だけ冷凍保存しておきます。新鮮なセロリの大きな株を手に入れたら、茎は新鮮な食感を楽しみ、残った葉を冷凍しておきます。あとはタイムと月桂樹を各々一鉢持つか、ドライを常備しておけば、自家製ブーケガルニでいつでもおいしい煮込み料理を作ることができます。

小さいころ、カレーの味見をさせてもらうと、いつも決まって月桂樹の葉をすくってしまい、よくかじってしまいました。口に残る苦味は今でも思い出します。その昔ヨーロッパでは、大酒飲みたちがお酒に酔わないために毎朝、2枚の月桂樹の葉を食べる習慣があったとかなかったとか。あの独特な苦味。毎朝試される勇気のある方はいらっしゃいますか?

■ 月桂樹の育て方

食用に適する月桂樹は「スウィート・ベイ(Laurus nobilis)」のみです。挿し木できるので、香りのよい月桂樹をお持ちのお知り合いがいらっしゃったら、ひと枝分けてもらいましょう。

月桂樹には雌雄の木がある常緑樹です。どちらも4月末~5月に淡い黄色の花が咲きます。受粉した雌木は、夏にオリーブのような1センチほどの濃い紫色の実をつけます。

植える場所、育てる場所は、なるべく日当たりのよい、風が当たらない所を選び、湿り気があり、水はけのよい肥沃な土を使います。夏の間は乾燥させないように注意します。寒い地域では、冬は室内に取り込みます。小さな苗は耐寒性が劣るので、冬の間はなるべく室内に入れたほうがよいです。冬の寒ささえ気をつければ、とても育てやすい植物です。

剪定は、2~3月と6~7月に枝を整えます。大きく育ててもよいですし、強めに剪定した小さめの株を、他の植物と一緒に寄せ鉢にするのもおすすめです。また、刈り込みを工夫してスタンダード仕立てやトピアリーにしても映えます。おそろいの鉢にスタンダード仕立ての株を2つ作って、左右対称にベランダや玄関先に並べると素敵です。

※このコラムは、毎日新聞社さんのサイトに「ハーブの横顔」という題で、2002~2005年に掲載させていただいたものです。


カテゴリ: ハーブの横顔  |  0 Comments
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