『“イングリッシュガーデン”の源流 ミス・ジーキルの花の庭』
宮前保子 著
学芸出版社
19世紀末から20世紀初めにかけて女性造園家として活躍したガートルード・ジェーキルを紹介。イギリス庭園の歴史や社会背景をもまとめながら、ジェーキルのガーデンデザインとその哲学に触れる内容は、イギリスのガーデン・デザインの奥深さを知らしめてくれる。
生い立ち、その時代背景、アーツ・アンド・クラフツ運動のジョン・ラスキンとウィリアム・モリスとの出会い、よきパートナーであった『ガーデン』誌編集者のウィリアム・ロビンソンや建築家のエドウィン・ラッチェンとの関係から、彼女がいかに“庭という芸術から人と自然の関係を考える”デザイナーであったかが読み取れる。
ジーキルの設計による庭園は200を超えるが、現在オリジナルのデザインが再現されているのはイギリス国内で数箇所のみ。しかし、本書で紹介されるウッドランドガーデン、フラワーガーデン、フルーツガーデン、ロックガーデンといったガーデンデザインや色彩理論は、今のイングリッシュ・ガーデンに生き続けている。マンステッドの色別フラワーボーダーのプラン図は、イングリッシュ・ガーデンづくりのヒントになる。
0 Comments
You can be the first to comment!