花言葉は『逆境に負けない』 「カモミール」

2011年6月13日

カモミールリンゴのような甘いよい香りのカモミールのハーブティ。もうお気に入りにしていらっしゃる方も多いですね。一般的にハーブティとして親しまれているのは、ジャーマンカモミールという種類の一年草。もうひとつ、よく耳にするローマンカモミールは多年草です。ほかにもお花がたっぷり咲き、染色なども楽しめるダイヤーズカモミール、八重咲きのカモミール、お花の咲かないタイプでほふく性のものなどがあります。

このハーブの歴史もたいへん古いです。古代エジプト人は太陽や神にささげる花としてあがめ、ドイツをはじめとしたアングロ・サクソン人の住む国では、聖なるハーブのひとつと考えていたそうです。また、教会、特に聖ヨハネとも関係が深く、ヨーロッパの国では教会へ持ち寄る花束にカモミールをしのばせ、聖ヨハネの日にはカモミールのリースを玄関にかけ、カモミールなどのハーブを焚いて、悪霊を吸い取らせたといいます。

イギリスでも、「踏むほどよく育つ」植物として15世紀ごろから芝生がわりに使われていました。イギリスの庭園に行くと、カモミールがびっしりと生えたベンチがおいてあることが多いです。古びた石のいすの座席部分がカモミール。座るとふんわりと甘い香りに包まれて幸せな気持ちになります。踏まれて育つ特性から、花言葉は「逆境に負けない」なんです。

2002年のイギリスは、女王陛下のGolden Jubilee(即位50周年記念)の年で、バッキンガム宮殿で記念式典が行われました。そのエリザベス女王は即位されたとき、カモミールの入った花束を手にされていたといわれます。イギリスでは、花束の材料としてカモミールはたいへん人気があり、何世紀ものあいだ、戴冠式の際の花束にはカモミールなどのをハーブが含まれていたそうです。

■ カモミールの利用法と効能

小さな花がかわいらしく、香りもよいカモミールには、実はさまざまな効能があります。古代エジプトでは熱病、痛み、婦人病などの聖なる秘薬として、古代ローマでは解毒剤、鎮静剤として使われました。

花を薬用として、鎮痛、抗炎、解熱、殺菌、消化などに使います。ハーブティにはリラックス効果があり、眠気を誘うので、疲れきって眠れない夜、神経がたかぶった日に飲むとおだやかに眠りにつけます。ミルクでカモミールを煮出し、ハチミツを少し入れて飲んでみてください。甘い香りにうっとりします。効きめがおだやかで、小さな子どもの飲み物としても安心です。

日焼けした日にはお風呂に入れて。ひりひりとほてった肌をやさしく鎮めてくれます。花粉症やぜんそく、鼻づまりには、カモミールの蒸気を吸うと効果があります。風邪をひいたときは熱々のカモミール・ティの蒸気を吸いながら飲むとよいです。その蒸気を顔にあてると肌をやわらかく、白くする美容効果もあります。

カモミール■ カモミールの育て方

種からでも育てやすいハーブ。春まき、秋まきどちらでもよいですが、秋まきのほうが大きな株に育てやすいです。種はじかまきでOK。小さな細かい種なので、紙などにのせて薄くまき覆土はしません。秋まきの苗は小さなうちに寒い冬を迎えるので、霜よけや防寒には気を配ります。

植える場所、育てる場所は日当たりと水はけのよいところで。太陽が大好きです。4月下旬から次々に花が咲き始めます。花は1ケ月以上の長持ち。花が開いたらひとつひとつつまんで収穫します。摘んだ花をさっと洗ってお風呂に浮かべて、手軽に優雅なハーブバスを楽しむのはいかがでしょう。葉っぱはいつでも収穫できます。収穫したものは乾燥させ、びんなどの密封容器に入れて保存します。乾燥した葉をポプリにしたり枕に入れてもおすすめです。

※このコラムは、毎日新聞社さんのサイトに「ハーブの横顔」という題で、2002~2005年に掲載させていただいたものです。

カテゴリ: ハーブの横顔  |  0 Comments
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