『植物学のおもしろさ』
本田正次 著
朝日新聞社 朝日選書366
「日本植物方言集」(日本植物友の会編集)によると、植物にはたくさんの方言(その地ならではの呼称)があるのだそうだ。たとえば、ヒガンバナは410種類、カタバミは220種類、オオバコには211種類も。
その由来は、オオバコを例にとると、オオバコの葉っぱを火であぶって指先で軽くもむと、その部分の表皮が丸くふくれあがる性質があり、それがカエルのたいこ腹のように見えるので、カエル葉を意味する方言が多数あるらしい。
さらには、それぞれの植物には洋名や学名もあるから、もっとややこしくなる。洋名のシクラメンは、和名ではブタノマンジュウというのだそうだ。
このようなことからはじまり、さまざまな樹・草・花についての名称、学名、薬効、原産、名所、方言名の由来などを細かに著述している。中にはだぶった内容のところが多数あるので、何かに掲載したものの寄せ集めなのかもしれない。
気軽に読んで、好きな植物や身近な植物のことを知るのに楽しい本。
一番気に入ったのはサルスベリ(百日紅)のお話し。サルスベリには「コソグリノキ」という方言があるのだそう。それは、つるつるした木肌をなでさすると、くすぐったがって身ぶるいして、梢の葉や花が笑うかのように動くから。公園のサルスベリをくすぐりに行ってみよう!
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