Monthly Archives: 6月 2011

風にのって香りが漂う 「ローズマリー」

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ローズマリー地中海うまれの「海のしずく」と呼ばれるハーブ「ローズマリー」。細い葉が対照につく枝を指でなでると、ピリリとした独特なすがすがしい香りがします。

剪定のたびにリースをつくって部屋にかけておくと、部屋の中のにおいを消し、空気をきれいにする作用があります。これは、昔から使われているローズマリー利用法のひとつ。ローズマリーのリースは、花のない状態でもさまになりますし、もちろん花つきでも素敵です。

■ ローズマリーの利用法と効能

お料理に加えたり、抽出液を利用することで、心身ともにさまざまな効果を得られます。お風呂に入れると、血行不良を改善し、新陳代謝を高め、さらには筋肉痛をやわらげてくれる効果まであります。すっきりとよい香りで気分もリフレッシュ。また、抽出液をうがい薬や切り傷に使用すれば、穏やかな殺菌作用があります。

ラムチョップお料理には特に欠かせないハーブ。クセのある肉や魚の料理に使うと、ひとあじ以上違う風味が加わります。ガーデンパーティの際には、株から一枝とってオリーブオイルをつけ、お肉の表面をなでながら焼くパフォーマンスを。香りよいおいしい焼き上がりになります。葉には酸化防止作用があるので、肉・魚の保存用に刻んだものをまぶしておき、そのまま焼いたらローズマリー風味の一品のできあがり。

ローズマリーと特に相性がよいのが、ジャガイモ、鶏肉です。鶏肉のクリーム煮には、ほんの少しのローズマリーを加えます。刻んでバターに混ぜたローズマリー・バターは、ジャガイモのソテーを作るときに重宝します。室温でやわらかくしたバターに、きざんだローズマリーの葉、レモンのしぼり汁、お好みで塩・コショウを加えてよく混ぜるだけ。冷凍保存もできます。

煮込み料理に欠かせないブーケガルニには、月桂樹(ベイ・リーフ)、タイムとともに、ローズマリーを加えます。また、ビスケットなどに焼きこむと甘さが引き立ちます。

ローズマリーには消化を助ける働きがあるので、脂っこいお料理を食べたあとのハーブティにおすすめです。食べすぎておなかがいっぱいで元気の出ないときには、ローズマリーのハーブティをどうぞ。

ローズマリーの鉢植え■ ローズマリーの育て方

ローズマリーには、立性とほふく性があります。立性のものは2メートルほどの高さになり、見事です。刈り込みを工夫してスタンダード仕立てにしても素敵。伸びる枝をこまめに刈り込んでいくだけでも、こんもりとした形のよい株になります。ほふく性のものは、好みの形に型どった針金などに這わせます。ローズマリーの若い枝は、生長するとタイムと同じく茎が木質化します。

秋から翌春に小さな花が咲きます。花色は白っぽいものから薄い水色、ブルー、紫色、ピンクまでバリエーションがあります。ローズマリーは、必要なときにいつでも収穫できますが、特に香りがよいのは、他の多くのハーブと同じように開花前。花が咲く前にまとめて収穫して保存してもよいです。

鉢を置く場所、植える場所は日あたりと水はけのよいところに。土は乾きめが好みなので、水をあげすぎないように注意してください。木の灰や卵のからなどを混ぜた石灰質の土で育てると、株は小さめになりますが、香りの強いローズマリーになります。

半耐寒性なので、氷点下になる場所は注意が必要です。冬は日あたりのよい室内に入れたほうが安全です。立性のほうが少し寒さに強いです。

※このコラムは、毎日新聞社さんのサイトに「ハーブの横顔」という題で、2002~2005年に掲載させていただいたものです。

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6月 13, 2011

虫よけに 「ルー」

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ルー別名「ヘンルーダ」とも呼ばれるハーブ。虫よけの効果があることで知られています。香りの強い小枝を、食品を入れた棚や洋服だんすに吊るすと虫やハエよけになり、乾燥した葉を植物にまくと防虫効果があります。コンポストの近くに植えておくとハエよけになります。

ルーは、古代ローマ時代から魔よけのハーブとして信じられてきました。「悔恨のハーブ」「神の恵みのハーブ」とも呼ばれ、ハーブ・オブ・グレイスという別名もあるほどです。カトリックのミサの前に、ルーの枝から聖水をふりかけ悪魔をとりはらう習慣があったことから、「神の恵み」として扱われるようになったとか。

中世には狂気を治す方法として、真夜中に集めた夜露にルーを混ぜたものをふりかけたそうです。また、ルーには不幸をとりはらうおまじないもあり、家でルーを育てていると不幸とは無縁な生活が送れるともいわれます。

■ ルーの利用法と効能

目の疲れに薬効が期待できるハーブでもあります。ローマ時代には目を酷使する彫刻家たちが煎じ薬を飲んで目の疲れをいやし、レオナルド・ダ・ヴィンチもルーの煎じ薬を使っていたとか。中性の修道士たちは、細かい字の写本で疲れた目や頭痛を治すためにルーを常備していたともいわれます。葉で作った洗浄液は、目の疲れや視力低下防止に効くそうですが、香りが強くかぶれやすいので要注意。

葉や茎の浸出液を直接飲んだり塗ったりするのではなく、こんな方法はいかがでしょう。おなじないのようにも思えますが、効き目があるそうですよ。
 ・めまいや目の痛みをおさえるためにルーの枝を首まわりにかける
 ・頭痛がして記憶力が落ちているときには、ルーをお酢で洗って額にのせる

■ ルーの育て方

昔から大事にされてきたハーブなので、調べれば不思議な言い伝えや面白い使い方が次々にみつかりそうです。でも、園芸品種として育てるだけでも十分楽しめるきれいなハーブです。

まず嬉しいのが、耐寒性がある常緑の多年草であること。緑の少なくなる冬の間も青々とした葉が繁っています(極端に寒いと葉が落ちることもあります)。また、丸みのある葉やこんもりと繁る姿もとてもきれいです。特に「ブルーリーフ・ルー」という種類は、葉が青くてきれいで、寄せ植えに使うと映えます。

育てる場所は、日当たりと水はけのよい場所、土を選んで。庭植えも鉢植えもどちらにも向いています。50センチメートルから1メートルほどに育ちます。あまり大きくしたくない場合は、適宜、刈り込んでこんもりと育てるとよいです。増やし方は挿し木、挿し芽、種まきで。

イチジクの根元に植えるとお互いの生長を助けますが、逆にバジルとは相性が悪いので近くには植えないように気をつけて。

※このコラムは、毎日新聞社さんのサイトに「ハーブの横顔」という題で、2002~2005年に掲載させていただいたものです。

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6月 13, 2011

豊富な薬効 「ユーカリ」

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ユーカリコアラの食物やフラワーアレンジの花材として知られるユーカリは、実に500種もの種類があり、変種も含めると700種とも1000種ともいわれています。生長がとても早く、原産のオーストラリアでは70メートルを越える大木になります。

葉から得られるエッセンシャルオイルは、ペパーミントをさらに強くしたような鋭い香りで、ユーカリオイルとしてアロマテラピーに使われています。オーストラリアでユーカリオイルが発見された18世紀後半には、その香りから、『シドニー・ペパーミント』と呼ばれていました。

■ ユーカリの利用法と効能

ユーカリのエッセンシャルオイルには、さまざまな薬効があります。エッセンシャルオイルは、葉を水蒸気蒸留して抽出します。種類の多いユーカリですが、アロマテラピーのエッセンシャルオイルとして用いられるのはその中でも数種に限られ、一般的な品種が『タスマニアン・ブルーガム』という種類です。ほかに、レモンの香りの『レモン・ユーカリ』のオイルにも薬効を期待できます。

防腐・殺菌、解熱、消炎、抗ウィルス作用にすぐれているので、風邪が流行している時期に、水で薄めたものでうがいをしたり、エアーフレッシュナーとして空気中に散布したり、アロマポットで焚いたりすると、風邪の予防になります。風邪をひいて鼻水、咳、痰がひどいとき、花粉症の季節に鼻がつらいときにも、効果があります。ドライの葉をハーブティにして飲んでもOKです。ミントやタイムもプラスしてハチミツを加えると、飲みやすいうえにさらによい効果を期待できます。

そのほかにも健康面で期待できる薬効には、やけどや切り傷、皮膚炎、虫さされの消毒・消炎、筋肉痛や打撲の痛みの軽減、糖尿病や高血圧の改善(血糖値を下げる作用)、コレステロールの低下などがあります。また、ユーカリの香りは蚊が嫌うので、マラリアが流行した地域の湿地帯にユーカリを植えたそうです。お部屋の中でアロマポットを焚いてもよいですね。

どうも集中できないなというときにもユーカリの香りは効果があります。ただし、ユーカリは多量を摂取するとからだに有毒です。長期にわたる摂取や、過剰摂取はしないよう注意してください。

花粉症の季節が憂鬱な方や、風邪をひきやすい方、蚊が多くて困る!という方、是非ユーカリの威力を試してみてください。

■ ユーカリの育て方

日本で育てているものは原産地ほど大きくはなりませんが、お持ちの方はすでに経験されているように、あっという間にスクスクと何十センチも伸び、大きく育つ植物です。4~5メートルにすぐ育つので、小さめに仕立てたい方は鉢植えにします。

どんどん伸びる茎や枝はこまめに少しずつ切って利用します。10月下旬~11月には、冬に備えて剪定してまとめて収穫し、ドライにしたり、エッセンシャルオイルを抽出して保存します。ドライのリースにしても素敵です。

切り取った枝は残念ながら挿し木には適しません。増やすときには春か秋に種をまきます。移植を嫌うので小さめのポットに直まきして、本葉が4枚ほどになったら鉢に植え替え、それからは生長具合にあわせて鉢を大きくしてあげます。

肥沃で水はけのよい土に植え、日当たりのよいところであれば、ときどき肥料を与えるだけで、どんどん育ちます。乾燥にも比較的強いです。耐寒性はありますが、レモン・ユーカリは他のユーカリに比べて耐寒性が劣るので、冬は室内に取り入れて管理します。

ユーカリを植える際の注意点をひとつ。ユーカリの根は有毒物質を分泌するので、近くに植えている植物たちの生長を抑えてしまう作用があります。また、根ばりするので、寄せ植えにも注意が必要。すぐに大きく育つので、ユーカリだけで鉢植えにしてその存在感を楽しみ、豊富な薬効を利用したり、フラワーアレンジやドライリースにするとよいでしょう。

※このコラムは、毎日新聞社さんのサイトに「ハーブの横顔」という題で、2002~2005年に掲載させていただいたものです。

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6月 13, 2011

育てやすいハーブの代表選手! 「ミント」

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パイナップルミント育てやすく、手軽に利用できるハーブので、すでにお持ちの方も多いですね。

ミントはたいへん種類の多いハーブで、その数は数千種ともいわれます。よく育つうえに交配しやすいため、次々に変種が作り出されたのでしょう。ジンジャーミント、アップルミント、レモンミント、オレンジミント、オーデコロンミントなどなど、名前だけで香りが想像できるミントも、たくさんあります。少し角張った茎に卵型の葉をつけたミントをみつけて、指でこすってどんな香りがするか確かめるのも楽しいです。

イギリスの家庭でラムのローストに添えられるスペアミントのソースは、ローマ人が伝えたといわれます。独特な香りのあるラムの肉に、さっぱりとしたミントソースは絶妙な組み合わせです。ミントソースは、ミント一束分の葉を洗ってよく水気をきって細かく刻み、砂糖小さじ2をまぶして包丁の背でたたき、お酢大さじ2と熱湯大さじ1と2分の1、塩小さじ4分の1とともに器に入れてよく混ぜ、1時間ほど味をなじませて作ります。

そもそも、ミントという名称は、ローマ神話に登場するメンタという女性の名前に由来しています。プルトー王に愛された、地獄の神コキュトスの娘、メンタは、王の妻の嫉妬により、香りのよい草に変えられてしまいました。その草が現在のミントだったそうです。

ミントティ■ ミントの利用法と効能

スーッとした香りのミントは、歯磨きやガムなどでもすっかりおなじみ。でも、ミントの効用は、そのすっきりとさわやかな香り以外にもいろいろあるのです。

疲れたときのミント・ティには、リフレッシュして眠りを誘う効果があります。忙しくて疲れた夜は、カモミールとブレンドしたティを、眠りにつく前に試してみてください。おだやかに眠りにつけます。

また、ミントは消化促進にも効きます。食べ過ぎて胃がもたれたとき、なんとなくお腹がはっているときにもミント・ティを。胃をあたためて消化を助け、腸内の余分なガスを出す効果があります。ほかにも頭が痛いとき、吐き気がするときに飲んでもよいです。薬用効果の高いのは、ペパーミントとスペアミントです。

もちろんティとしてだけでなく、ちぎってサラダにくわえたり、デザートに添えたり、刻んでバターにまぜたり、豆類をゆでるときの香りづけにしたり、使い方はいろいろ。シロップをつくりおきしておいても便利です。通常はシナモンやクローブ、オレンジ、ハチミツ、赤ワインでつくるホットワインですが、オレンジのかわりにミントで香りづけして、赤ワインのかわりに白ワインを使ってよく冷やしてもおいしいです。

食用としてだけでなく、浸出液を筋肉痛のマッサージに使ったり、染色に使うこともできます。煮出している間の香りもさわやか。染物は黄色から緑色に染まります。

ミントの種類によっては、子宮に刺激を与えるものもあるので、妊娠中は多くとらないように注意しましょう。

ペニーロイヤルミント■ ミントの育て方

ミントはハーブの中でも特に育てやすい種類です。種まきしても容易に芽を出し、枝を切って水にさしておけばすぐに根を出すので、挿し木も簡単です。同じ香りのものを増やしたいときは挿し木で増やします。種は春(3月中旬~6月)と秋(9月中旬~10月)に蒔きます。

梅雨の時期も元気で嬉しいのがミントです。どんどん伸びるので惜しみなく利用できます。肥料は月に1回程度少し与えます。夏の乾燥には弱いので気をつけます。

関東地方程度の冬なら、戸外で越冬できます。乾燥しないように適湿を保つようにします。霜で根が浮き上がると乾燥しやすいので気をつけてください。3月ごろになると新しい芽がたくさん顔を出すので、古い枝は株元で切り、肥料をあげて春にそなえます。

生育旺盛なミントを植えるときに注意したいのが、品種間交配です。ミントは、異なる香りのものと簡単に交配するため、うっかり同じ場所に植えると、みんな同じ香りになってしまいます。せっかく手に入れた珍しいミントが、隣りに植えてあるミントといつのまにか同じ香りになってしまうことも!

また、ミントはどんどん根を伸ばして株を大きくするので、寄せ植えにすると他の植物が負けてしまうことがあります。庭にじかに植えると増えて増えてびっくり。ミントを植えるときは、鉢のまま埋めるなどの工夫をどうかお忘れなく。

ミントの寄せ植えに嬉しいお話しを最後にひとつ。キャベツの近くにミントを植えると、モンシロチョウを防いで、キャベツの生育をよくする効果があるそうです。なんでも、キャベツとミントとは相性がよいとか。紫キャベツと斑入りのミントの寄せ植えなんて、見ても食べても嬉しいコンテナになります。

※このコラムは、毎日新聞社さんのサイトに「ハーブの横顔」という題で、2002~2005年に掲載させていただいたものです。

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6月 13, 2011

やさしい愛の夢を 「マージョラム」

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マージョラムマージョラムは、香りやかたちがオレガノと似ているため、長い間、ワイルド・マージョラムを別名「オレガノ」と呼び、同じものとして考えられてきました。しかし、今では、オレガノとマージョラムは別のものと区別されるようになっています。

シソ科のマージョラムは、甘いハッカのような香りがするので、和名では「ハナハッカ」と呼ばれることもあります。また、「マヨナラ」、フランス名では「マルジョレーヌ」と優美な響きの名前も持ちます。

魔女たちが活躍していた時代、マージョラムは亡くなった人々の魂を鎮めると考えられていました。そのため、お墓のまわりにたくさん植えられたと言われます。そんな言い伝えから、家の入口の近くにマージョラムを植えたり、マージョラムの束を窓の外に向かって放り投げると、悪魔を取り払うことができるというおまじないがヨーロッパにはあるそうです。

マージョラムという名のハーブは、実はシェイクスピアのいくつかの物語にも登場しています。ふたりの娘に裏切られ、荒野でさまよう狂気のリア王が合言葉にしたのが、スイート・マージョラム。冬物語で、パーディタが中年の男性たちに贈った花々に含まれていたマヨラナ。シェイクスピアは、植物の名前ひとつで登場人物のセンスや心までも表現しているのです。

■ マージョラムの利用法と効能

古代の人々にも愛された香りは、お風呂に入れるとリラックス効果があります。エッセンシャル・オイルは関節炎、筋肉痛、捻挫や打撲に効きます。いつもよりたくさんからだを動かして疲れた夜は、マージョラムのお風呂にゆったりとつかって、やさしくマッサージしてみてください。

また、香りには催眠効果があるので、枕に入れてピローポプリとして使います。マージョラムのピローポプリで眠ると、「やさしい愛」の夢を見られるとか。今夜からさっそく試したくなりますね。

消毒効果も高く、ペストの流行った時代には消毒薬として用いられました。煎じた汁やハーブティでうがいをするとのどの消毒ができ、のどの痛みがやわらぎます。歯が痛いとき、頭が痛いときには鎮痛効果があります。女性の月経痛をやわらげる効果もあります。妊娠初期には使用しないようご注意ください。

もし、初めてハーブを育てるとしたら、みなさんはどんなものをお植えになりますか? もちろん用途によって異なりますが、お料理用ハーブを育てるのなら、タイム、ローズマリー、セージが基本の3つ。そして次に必ず欲しいのがマージョラムなのです。

マージョラムは、そのまま刻んでサラダに入れたり、お魚料理に使います。ソーセージやパテを作るときに入れたり、鶏肉・豚肉・牛肉のローストにすりこんでもとびきりおいしくなります。バターと一緒にあえて、じゃがいもや卵料理の風味づけにしてもおいしいです。

マージョラム■ マージョラムの育て方

育てやすく、冬もマルチングしてやれば寒さをしのいでくれるし、一度は育てて利用してみたいハーブです。

マージョラムは、日当たりと水はけのよいところを好みます。春に種をじか蒔きし、1週間ほどして芽が出て、込み合ってきたら間引きします。温度を15~20度に保てばいつでも発芽するので、春先に早めに室内でまいて管理するのも方法です。苗は徒長して倒れやすいので、密植と日照不足に気をつけます。

挿し木も簡単なので、香りのよい株をお持ちのお知り合いがいたら、ひと枝分けてもらいましょう。同じ香りの株ができるので、ちょっと得をした気分。

マージョラムは、養分が豊富なアルカリの土で育てると香りがよくなります。ただし、梅雨の時期に窒素分の多い肥料をあげすぎると、徒長がすすんで倒れてしまうので気をつけます。

また、マージョラムは夏の暑さには強いですが、乾燥には要注意。株元をマルチングして乾燥しすぎを防ぎます。真夏の午後の日ざしには日よけをしてあげたほうがよいです。

どのハーブにもだいたい共通しますが、マージョラムの葉を保存用に刈り取るのは、開花の直前にします。花が咲くと株が弱って香りが落ちてしまうのです。7月ごろから開花するので、その頃に収穫します。夏に刈り込んでも、秋にはたっぷり繁ってくるので、また収穫できます。

たくさん収穫したら、いつでも使えるように乾燥させるか冷凍して保存します。オリーブオイルやお酢につけて香りづけしてもよいです。基本の3つのハーブ(タイム、ローズマリー、セージ)とともに刻んでバターやチーズに混ぜて冷凍しておいても便利。マージョラムの香りはタイムとあわせて使うと相乗効果があるそうです。

冬になると、生長がとまります。寒さには強く越冬できますが、マルチングなどの保護が必要です。多年草なのですが、1年草として育て、春にまた種をまいて株を刷新するのもよいでしょう。または、夏の元気な時期に挿し芽し、冬の間室内で管理して来春に備えるのも方法です。

※このコラムは、毎日新聞社さんのサイトに「ハーブの横顔」という題で、2002~2005年に掲載させていただいたものです。

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6月 13, 2011

幸せな気分に 「ボリジ」

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「ボリジ」というと、お花の砂糖漬けがすぐに思い浮かぶ方が多いでしょうか。星形の青い花の色と形を封じ込めてきらきら光る砂糖漬けは、手づくりのお菓子に飾れば、いつものお菓子をよそゆき顔に変えてくれます。

マドンナブルーと呼ばれるこのブルーは、その昔ヨーロッパで、聖母マリアがまとう青いローブを描くときの色見本にされていたそうです。咲き始めの一時期はピンク色ですが、だんだん青色になる花。気品ある美しい色です。

ボリジは古代ギリシャの時代から、憂鬱な気持ちをとりはらって、勇気を与える薬とされていました。有名なのが、十字軍のエピソード。十字軍遠征の際、騎士たちはボリジの花を浮かべた杯を与えられたそうです。守護の力も持つと考えられていました。

■ ボリジの利用法と効能

葉っぱには効能があり、もちろん利用できます。若いボリジのハーブ・ティは副腎の強壮、または強心剤になり、ほかにも母乳の出をよくする効果もあります。入浴剤として使えば、肌をしっとりさせる効果があります。

また、こんな効き目も。恋に悩むときにはボリジ・ティを飲めば、高鳴る胸もおさまり、かなわぬ恋に涙する気持ちを鎮め、悲しみをやわらげてくれるとか。思春期時代にこんなハーブがひと鉢欲しかったですね。

このようにボリジは、悲しみを忘れさせ、元気な幸せな気分にしてくれるハーブとして、人々に愛されていました

まっすぐに伸びる中空(中が空洞)の茎につく丸みのある葉。ボリジの葉の香りをかいだことがありますか?こまかい毛、ときには痛いほどの毛で覆われた葉は、ほのかなキュウリのような香りがします。やわらかい若葉は、そのままサラダに入れたり、サンドイッチに使えます。お花もサラダに散らすときれい。エディブル・フラワーとして楽しんでください。

次々に咲かせる花を手軽に楽しむ方法は、凍らすこと。製氷皿に花を入れ、そっと水を注いで凍らせます。短命な花も氷の中ではきれいな色が長持ち。お客さまへの最初に涼みの一杯は、ボリジの花の氷が浮かぶ冷たい飲み物でおもてなし。透明なソーダー水に浮かべると細かいつぶつぶの気泡と花の青色がさらに涼しさを醸します。来年の夏は是非。

■ ボリジの育て方

ボリジは秋まきがおすすめのハーブ。種から育てやすいのも嬉しいです。秋にまくとボリジ本来の大きな株にしっかりと育ち、春にきれいな花をたくさん咲かせます。寒さにも強いので戸外で冬越しできます。

大きめの種は、じかまきOK。3粒ずつぐらいを目安に20センチほど離して種まきします。種は大きめですが、かぶせる土は5~10ミリぐらいと薄め。本葉が出そろったら、葉のこみあうところを間引き、本葉が数枚になったら、よさそうな苗を残して日当たりのよいところで育てます。

ボリジは大きく見事な株に育つので、なるべく広さのある所を選ぶことをおすすめします。土の好みは軽めの水はけのよい土。太陽が大好きです。大きく育ち始めたら、葉っぱはいつでも摘んで利用できます。花の咲く季節には、咲き終えた枝を切るとわきから新しい枝が伸びて、新しい花が次々と咲きます。花は短命。きれいな色のときにそっとガクからはずして、使います。

花にはミツバチが集まるので、果樹を育てている人には強い見方です。イチゴを間に植えると相性がよくお互いに元気に育ちます。トマトの近くに植えると害虫を防ぐ効果があります。

※このコラムは、毎日新聞社さんのサイトに「ハーブの横顔」という題で、2002~2005年に掲載させていただいたものです。

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6月 13, 2011

女性を美しく 「フェンネル」

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フェンネル細く繊細な葉がふわふわと羽根のように美しいフェンネル。和名では「ウイキョウ」と呼ばれています。古代ギリシャ時代から女性を美しくするハーブとして用いられてきました。体内に体液がよどんでたまるのをふせぎ、尿を通してからだの中の毒素を出す利尿効果や、お風呂に入れることで得られる刺激性の薬効は、総じてボディラインを美しくする効果につながります。「やせるハーブ」とも呼ばれる由縁ですね。

■ フェンネルの利用法と効能

消化酵素の分泌を高め、消化吸収を促進する作用があるので、消化不良、腹痛に効果があります。胃腸のなかのガスを出す効果もあるので便秘にもききます。空腹時にフェンネルの種をかむと息がさわやかになり、空腹感を抑えてくれます。

フェンネルのハーブティはいつも常備しておくとよいです。お昼にちょっと食べ過ぎたときに飲むとすっきりします。ティバッグの残り香をかぐだけでもすーっとします。

また、フェンネルの種と葉にはクレンジングと鎮静作用があります。種を細かくつぶしてパックに混ぜると、オイリースキン向きのパックに。毛穴の奥の汚れをとることができます。最近は植物抽出成分の効果を生かした化粧品がいろいろと出ていますが、フェンネルが含まれているものもありますね。

手がひどく荒れてしまったら、フェンネルの抽出液に手をつけてみましょう。皮膚をやわらかくする治療効果があります。その後たっぷりと塗るハンドクリームがよく浸透し、やわらかくつるつるの手になります。

目が疲れたり炎症をおこしたときには、フェンネルの種の煎じ液をコットンにひたして閉じたまぶたにのせると、炎症、痛みがやわらぎます。古代では、視力強化薬、洗眼水として使われたそうです。目に輝きを与える効果もあるとか。

赤ちゃんのいるお母さんにも嬉しい薬効が。フェンネルの母乳の出をよくする効果はよく知られています。こちらも古代ギリシャ時代から利用されているそうです。また、月経痛をやわらげる作用もありますので、女性の心強い味方。でも、生殖器に刺激を与える作用があるので、妊娠中の方はご使用にならないようご注意ください。

昔から女性の大切な薬だったフェンネルは、からだのなかから外から美しくなる効果を発揮してくれるのです。そして、もちろんお料理にも大活躍します。若い緑色のこまかい葉をちょっとつまんだり、刻んでサラダやチーズに。小さな黄色いお花をサラダに散らしても香りよくおいしいです。

脂肪分の多い魚料理のつめものにもぴったり。フェンネルの香りは魚料理と相性がよく臭み消しになります。南フランスのグリヤード・オ・フヌイユは、乾燥したフェンネルを使った豪快なお料理。葉や茎の乾燥したものをブランデーに浸し火をつけ、スズキなどの魚に香りを移して焼きます。お魚のおなか部分にフェンネルをつめてオーブンで焼くと、おいしそうな素敵な香りが立ち込めます。フェンネルを載せて焼くだけでもじゅうぶん。本当においしいです。

つみとった葉をオリーブオイルやビネガーにつけたものは風味ゆたかなドレッシングに。パン・ド・カンパーニュにフランスの荒塩とともにつけて食べてもおいしく、食欲がすすみます。

株元、茎、葉、種、すべてを味わえるのが魅力なフェンネル。種はソースやスープに加えたり、パンやビスケットに焼きこんで。ちょっぴりスパイシーないつもと違う香りのパンが焼きあがります。

フェンネルそして忘れてはならないのが、フローレンス種の葉の付け根部分(根茎)。白く大きく球根のようにな部分をスライスして生で食べたり、煮たり炒めたり。クリーム煮にしてもおいしいです。なんだかおなかがすいてきてしまいますね。

こんなふうにおいしくきれいになるハーブ、フェンネル。耐寒性もあり、育てやすいのも魅力です。

■ フェンネルの育て方

日あたりと水はけのよい、肥沃な土で育てます。粘土質は苦手です。耐寒性があるので、戸外で冬越しできます。フェンネルはスイート種とフローレンス種の2つに大別でき、どちらも多年草ですが、フローレンス種は白い根茎部分をおいしく野菜のように食べるので、一年草のように育ててもよいです。室内栽培には向きません。

増やし方は、株分けするか種まきをします。晩春から初夏に種をまきますが、根茎をあじわうフローレンス種は秋に種をまくと、翌5月ごろには大きくなった根茎をさっそく楽しめます。その場合は、小さな苗の冬越しがポイントです。こぼれ種でも増えます。

太陽が大好きなので、発芽したら間引いて十分に日をあててあげましょう。密植させないように20センチは株間をはなして、根茎を見事にふくらますように育てます。肥料は、元肥として緩効性の肥料を土に混ぜ込んでおきます。秋まきの場合は3月に成長が始まるので、その前の2月中旬ごろ土の表面を少し耕して肥料を追肥します。ディルとは交配しやすいので、近くに植えないように。

葉、茎はいつでも収穫できます。根茎はふくらんだ根際からまるごと収穫してたっぷりお料理に使ってもよいですし、一枝ずつかき取って収穫すれば長く楽しめます。種は熟してから集めて乾燥します。種を熟させるには太陽の光をたくさんあててあげましょう。葉は乾燥させるか冷凍保存します。

庭からつみとったばかりのフェンネルの葉は、ハードタイプのチーズにのせてそのまま食べてもおいしいし、レタスしかないときのサラダに散らすだけで見た目もお味もぐっと引き立ちます。是非育ててみてくださいね。

※このコラムは、毎日新聞社さんのサイトに「ハーブの横顔」という題で、2002~2005年に掲載させていただいたものです。

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6月 13, 2011

実はロマンティックなハーブ 「バジル」

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バジルひと鉢あれば、夏の食卓がぐんと楽しくなるバジル。高温多湿の日本の夏が苦手なハーブが多いなか、バジルは暑さに強く乾燥が苦手なので、元気に育ってくれます。ペーストやサラダ、パスタなどお料理にも大活躍。このように、どうしても『食べる』ことに結びつくバジルですが、実はとてもロマンティックなハーブでもあるのです。

みずみずしいグリーンの葉を持つバジルは、昔から愛情のしるしやシンボルとされてきました。女性からバジルの一枝、または新しい芽を受け取った男性は彼女を永遠に愛し、また、プロポーズする際にバジルを手渡すことのできた男性は、彼女から深く愛されるようになるといわれています。バジルを上手に育てていれば、恋人がいつも会いに来てくれるという素敵な言い伝えも・・・。ぜひひと鉢欲しくなってしまいますね。

宗教的に神聖な植物とされているハーブでもあります。キリスト復活後、その墓のまわりにバジルが生えたという伝説から、ギリシャ正教では祭壇をバジルで飾り、聖水にはバジルを配合するところがあり、インドでも神のハーブとして崇められ、昔は宮廷や法廷の儀式にバジルが欠かせなかったそうです。

■ バジルの利用法と効能

『あじわう』楽しみは、もう実践されている方がたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。バジル、パルミジャーノ(またはペコリーノ・チーズ)、松の実、オリーブオイル、ニンニク、塩で作るジェノヴェーゼ・ソースはもうおなじみです。チーズを入れないで冷凍保存すれば、いつでもおいしいソースを食卓に出せます。モッツァレラ・チーズとトマトの薄切りにバジルの葉をのせたカプレーゼもイタリア料理のオードブルの定番。トマトとの相性が抜群のハーブです。

相性がよいのはお味だけではないのが面白い、トマトとバジルのコンビ。なんと近くに植えるとお互いによく育ち、おいしくなる効果があります。一緒に食べておいしいものは、育てるのも近くがよいのだとか。

利用は、なんといってもフレッシュがおすすめ。保存はバジルソースにするか、オイルにつけて。製氷皿に刻んだバジルを入れて、お水を少しだけ入れて凍らせる方法もあります。

日本や中国では昔から『目ぼうき』と呼ばれ、目薬として使われてきました。バジルの種を水につけておくと種のまわりがゼリーのようなもので覆われてきます。それを使って目の中にゴミをとるのに使ったそうです。バジルシードという名前で中華食材店でデザートの材料として販売されていますが、やはりこれも水につけ、ゼリー状になったものを頂きます。バジルシード入りヨーグルトが隠れた人気になっていたこともありました。

バジルの薬効にも注目してみましょう。バジル・ティは風邪のひき始めに効果があるとか。風邪気味の夜は熱々のバジル・ティを飲んでベッドにもぐりこむとよいそうです。また、激しい咳にはバジルの煎じ液を飲み、鼻づまりにはバジルの匂いをかぐとすっきり。粘膜の炎症を抑える効果があります。胃腸がもたれ落ち着かないときには、消化を助ける役割もしてくれます。

また、古代、ギリシャ人とローマ人は精神安定剤としてバジルの葉を噛んだと言い伝えられています。バジルのエッセンシャルオイルには偏頭痛を抑えたり、緊張をやわらげる効果があり、頭をすっきりとさせてくれます。疲れた夜、気分の晴れない夜には、お風呂にバジルの葉をしばって浮かべたり、エッセンシャルオイルを数滴たらすと疲労回復、気分転換できます。月経前の落ち着かない気持ちや月経痛を抑える効果もあるので、女性にうれしいハーブでもあります。ただし、妊娠初期の使用は避けるようにしてください。

■ バジルの育て方

バジルは種からでも上手に育てられるハーブです。ただ、寒いのは大の苦手。あたたかくなってから種まきしましょう。大きな鉢にたくさんまいて育てれば、自家製バジル・ソースをたっぷり作ることができます。種まきについて、面白い言い伝えがあります。バジルの種は、ののしりながらまくとよく育つそうです。本当でしょうか。試された方はぜひご報告ください。

育てる場所は、日当たりがよく水はけのよいところで。よい香りの葉には虫もつきやすいので、お庭がある方も鉢で育て、なるべく目の届く場所で管理するのをおすすめします。

他のハーブにくらべ、水をたくさん欲し、肥沃な土を好むことが特徴。乾燥しないよう気をつけます。太陽によくあて、水をたっぷりあげれば、どんどん育つので、上手に摘心しながら利用してわき芽を伸ばし、こんもりと育てます。たくさん収穫するのは花が咲き始めるころに。株元から2分の1か3分の1ぐらいのところで思い切って刈り込み、追肥しておけば、また元気に茂ってきます。

古代ローマ人は、バジルを豊作の象徴としていたそうです。美しい若い女性が手入れをするとよく育つともいわれていました。『バジル』が若者の名前に由来すると言われることに結びついているのでしょうか。

※このコラムは、毎日新聞社さんのサイトに「ハーブの横顔」という題で、2002~2005年に掲載させていただいたものです。

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6月 13, 2011

鎮静効果 「ディル」

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ディル細く繊細な葉が美しく、傘をパッと開いたような愛らしい黄色い花をつけるディル。フェンネルと似ているので区別がしにくいという方もいらっしゃるでしょうか。花・葉のつき方、中空の茎で見分けることができます。

ディルという名前は、古代ノルウェー語の”dilla”に由来しています。この言葉は『鎮める、なだめる』を意味しており、ディルはその名前のとおりの薬効を持っています。むずかったり夜泣きをする赤ちゃんに、ディルの種を煎じたお湯を飲ませたり、ディルをつぶした香りのよい液を胸元にこすりつけるとよいといわれてきました。

■ ディルの利用法と効能

夜泣きの赤ちゃんだけでなく、大人たちにももちろん昔から薬効を発揮してきました。エジプト人は頭痛を鎮める治療薬として用いたそうです。17世紀ごろのヨーロッパから現代まで、消化不良の腹痛どめや消化促進にもひと役かっているハーブです。

ピクルスに一緒に漬け込んだり、お料理にも活躍します。種だけ、葉ごと、花ごとホワイトワイン・ビネガーやオリーブオイルに漬け、ディル・ビネガーやディル・オイルを作っておくと、ソース、サラダのドレッシングづくりに重宝します。

魚、チーズ、野菜料理にも相性がぴったり。いつものポテトサラダに香りのよいディルのやわらかい葉を刻んで混ぜてみてください。ちょっと刺激のある香りがおいしさをひきたてます。

ほかにも、チーズやサーモンのサンドイッチやカナッペに一枝はさんだりのせたり。刻んだ葉をバターやチーズに練りこんで冷凍保存しておき、朝のたまご料理に使ってもおいしいです。今までのお料理にちょっと加えるだけで、十分その芳香を楽しむことができます。

ディルには女性に嬉しいこんな効能もあります。バルコニーや庭での土いじりって、爪をいためますよね。そんなときは、ディルの種をつぶして煮出した抽出液に10分指先を浸します。爪を丈夫にする美容液になります。

また、ディルは愛の媚薬にもなるとか。ワインにひたして飲めば、情熱を高めるのだそうです。不思議なおまじないハーブでもあるのですね。

■ ディルの育て方

一年で大きく育つディルは種から育てやすいことも魅力です。

春まき、秋まきどちらも可能なハーブです。秋にまけば、翌春5月には大きく育ち、たくさんの花を咲かせてたっぷり種を収穫できるので、秋まきがおすすめです。種にはミネラル成分が豊富に含まれています。

ディルはパセリと同じように直根性なので、移植を嫌います。じかまきで育てます。ポットまきをする場合は、苗が小さいうちに本植すれば問題はありません。1週間ほどで発芽するので、しっかり日に当てて間引きます。冬の間、根元を持ち上げる霜に気をつけて土盛りをして、陽だまりで育て、春になってぐんぐん伸び始めたら肥料をあげましょう。

キッチンガーデンを楽しんでいらっしゃる方は、レタスやキャベツ、キュウリと一緒にディルを植えてみてください。野菜を丈夫に育て、アオムシを一手に引き受けてくれるので、葉もの野菜を守ってくれます。ただし、フェンネルの近くには植えないこと。交配して、どちらも同じような香りになってしまいます。

葉の収穫は若いやわらかいときに。種は茶色くなるまでおき、根ごとほりあげるか、茎ごと切って逆さに吊るして乾燥させます。コロコロと種が落ちるので、ザルや布を敷くか紙袋をかぶせておけば安心。葉は冷凍保存します。

※このコラムは、毎日新聞社さんのサイトに「ハーブの横顔」という題で、2002~2005年に掲載させていただいたものです。

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6月 13, 2011

厄除けのお守り 「チャイブ」

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チャイブの花淡く紫がかったピンクの丸い花がかわいらしいチャイブ。キッチンガーデンの彩りに加えたいハーブのひとつです。中が空洞になった細い葉は、ネギのような刺激的な香り。その香りのとおり、ネギ属の植物です。ニラ、ナガネギなどのネギ類、エシャロット、タマネギ、ニンニクと同じ仲間で、和名ではエゾネギ。

チャイブの歴史は古く、古代からお料理や薬用に使用されていたそうです。それをヨーロッパに持ち帰ったのがマルコ・ポーロ。13世紀頃のことです。たいへん気に入った彼は、帰国してからもしばらくこのハーブに夢中だったそうです。

チャイブのハーブチーズ■ チャイブの利用法と効能

チャイブの葉には、食欲をうながし、胃腸の働きを促進する効果や、殺菌効果があります。その効果と風味を生かした魚料理が紀元前1000年以上前の中国のレシピに残っており、また、中国では止血剤や解毒剤としても民間療法で使われているそうです。

たしかにチャイブを使ったお料理は風味がよく、食欲を促してくれますね。タマネギとは異なり、繊細なチャイブの香りは長い時間火を加えるお料理には向きません。フレッシュなまま刻んで使います。

卵やじゃがいも料理、スープ、サラダ、ソースなどに加えるとぐんとおいしくなります。刻んでバターに練りこんで冷凍しておくと重宝します。オムレツやスクランブルエッグ、お魚や鶏肉のソテーの仕上げにひとかけ加えると風味がよくなります。クリームチーズにレモン汁少々とともに練りこんだハーブチーズも、簡単なのにとてもおいしいです。たくさんのお客さまがみえるときに、クラッカーやフランスパンを添えておいておくと、いつのまにかなくなってしまいます。

チャイブ■ チャイブの育て方

鉢を置く場所、植える場所は日当たりのよいところに。少々半日陰でも大丈夫です。発芽もしやすいので、種をまいて育てるのも楽しいハーブです。発芽したばかりは、とても細い細い苗なので、大切に扱ってあげましょう。株が大きく育つまで、そして花が咲くまでは1年待つことが必要。すぐにお料理に利用したい方は、苗での購入をおすすめします。

苗を購入したら、葉が細く風や雨で倒れやすいので何株分かまとめて、水はけがよく湿り気のある土に少し深めに植えつけます。チャイブは地下茎がどんどん分球して増え、だんだん株が大きく育ってくるので3~4年ごとに株分けします。5月の終わりごろから葉がしげって大きく生長します。この時期には肥料を欠かさないようにして、その後夏の間は1ケ月に一度追肥します。

大きく育ったら根元を5cmほど残して刈り込んで収穫すると、また新しい芽がたくさん伸びてきます。ただし、翌年に花を咲かせたい場合は、間引き収穫しましょう。

夏の間に気をつけなければいけないのは乾燥です。強い西日の当たる場所を避けて少し涼しい場所に置き、水切れしないよう気をつけます。根元をマルチングしてあげるのもよいです。

冬は、関東地方程度の寒さなら戸外で冬を越せます。2月ごろには株元から新しい芽がたくさん出てくるので、わくわくします。

バラの近くにチャイブを一緒に植えると黒点病を防ぐ効果はご存知の方も多いですね。ほかにも知られている、チャイブのコンパニオンプランツとしての役割をご紹介。ニンジンやトマトのアブラムシを防いだり、キュウリなどのうどん粉病を防ぐ効果もあります。おうちにリンゴの木をお持ちの方は、根元にチャイブを植えるとカイガラ虫と腐敗病を防ぐそうです。

※このコラムは、毎日新聞社さんのサイトに「ハーブの横顔」という題で、2002~2005年に掲載させていただいたものです。

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6月 13, 2011

小さな竜 「タラゴン」

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クリームチーズ、バターなどの乳製品や、卵料理に加えるとぐっと風味が増しておいしくなるタラゴン。フランス語では「エストラゴン」と呼ばれています。

エストラゴンとは、小さな竜という意味。その由来は、まっすぐに伸びた枝につく細い葉が竜の牙に、いや竜の舌に似ているから、またはらせん状にねじれた茶色い根が、とぐろを巻いたヘビのように見えるからだと言われています。いずれにしても小さな小さなかわいい竜ですね。

今では料理の風味づけとしての印象が強いのですが、古くから料理以外にさまざまに用いられた古い歴史を持つハーブです。古代ギリシャ時代には、毒ヘビや狂犬などの動物にかまれた時や、スズメバチなどに刺された時の解毒に使われていました。ローマ時代には、疲労回復にも使われたとか。

■ タラゴンの利用法と効能

1592年に出版された”The Herbal : Or, General History of Plants(本蔵書または植物の話)”で知られる英国のジョン・ジェラードによると、タラゴンには口臭を消す作用があり、また、苦味の強い薬を飲みやすくする作用があると記されています。

料理以外で現在にも共通する利用法は、食欲増進効果。消化を助け、胃を強くしたり、強壮効果もあります。甘い香りのエッセンシャルオイルは、生理痛に効きます。

お料理では、すでにいろいろと活用されている方も多いでしょうか。タルタルソースやマヨネーズ、ドレッシングを作るときに加えたり、スクランブルエッグ、オムレツなどの卵料理に刻んで入れます。煮込み料理やスープの仕上げに加えると奥行きのある味になります。

サラダに散らしてそのままでも、またはクリームチーズのサンドイッチに少し加えると、いつもと違う風味になります。食用増進効果があるので、暑さで食欲のない時に、すっきり冷やした白ワインと、チーズとタラゴンを載せた小さなカナッペのオードブルで食欲を刺激するのもよいでしょう。

香りのよい時期に収穫したひと枝をビネガーやオイルにつけたり、刻んだ葉をバターやチーズに練りこんだものを作って保存しておくと、肉、魚、野菜料理どちらにも活躍し、重宝します。フィーヌゼルブは、チャービル、パセリとタラゴンを使って作ります。

もうひとつおまけにタラゴンの不思議な効き目を。長時間立ち仕事の多い方は、生のタラゴンを靴の中に敷いてみてください。足の疲れがいつもより楽になるそうです。

■ タラゴンの育て方

日あたりと水はけのよい場所を選び、軽くて肥沃な土に植えます。5月ごろからどんどん枝を伸ばし始めます。梅雨時期は日照不足でヒョロヒョロと徒長しがちなので、支柱を立てます。25センチほどの高さになったら適宜摘心して側枝を伸ばします。

夏の間は乾燥と暑さに気をつけます。夏をうまく越して、一番香りのよい晩夏に収穫を楽しみましょう。冬になると地上部は枯れますが、春には株元から新しい芽がたくさん出てくるので腐葉土やワラをかぶせて寒さから守ってあげます。新芽が次々に伸び始める春は嬉しくてワクワクします。

不稔性で花が開かないフレンチタラゴンは、挿し木をしたり株分けをして増やします。ロシアンタラゴンよりも、より風味のよいフレンチタラゴンは、2~3年おきに株分けして植え替えると香りがさらによくなります。

ロシアンタラゴンは春か秋に種まきします。ロシアンタラゴンは一度植えた場所で育て続けると風味がよくなるので、種まきをして株をどんどん大きく育てるのも楽しみですね。

※このコラムは、毎日新聞社さんのサイトに「ハーブの横顔」という題で、2002~2005年に掲載させていただいたものです。

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6月 13, 2011

元気の出ないときに・・・ 「セント・ジョンズ・ワート」

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セント・ジョンズワートサプリメントの商品名などを通じて、「セント・ジョンズ・ワート」という名前をご存知の方も多いでしょうか。不眠症、ノイローゼ、抑うつ効果のある薬草として知られ、タブレットにしたものが販売されています。

植物のままの状態でも、もちろんその薬効を期待できます。このすぐれた力の由来は、洗礼者ヨハネの時代へとさかのぼります。ヨハネ(セント・ジョン)が切られた際、その血からセント・ジョンズ・ワートが芽生えた、または、ヨハネの血を浴びた草が不思議な力を持つようになったものがセント・ジョンズ・ワートである、などと言い伝えられています。葉に見られる斑点はその血の跡であるとも・・・。そして、セント・ジョンズ・デー(St. John’s Day)である7月24日が、最も薬効が高まると伝えられています。

『血の跡である』と伝えられる葉の斑点。見えないときには、太陽の光にすかすと浮かびあがるとか・・・。なんとも神秘的ですね。昔、ヨーロッパでは魔力が強いハーブであると信じられていたそうです。

日本名では、セイヨウオトギリソウといいます。漢字で書くと弟切草。なんとも物騒な名前です。

そんな由来や名前とは裏腹に、6~8月に小さく控えめな、レモンに似た香りの黄色い花をつけます。丸みのある葉も愛嬌のある、やさしいハーブです。

■ セント・ジョンズ・ワートの利用法と効能

葉っぱを摘み取ってハーブティにしたり、抽出液やオイルを利用して、次のような効果を期待できます。ミントやカモミールなど、他のハーブと組み合わせてハーブティにしてもよいです。

・眠れない夜や、心配ごとがあってもやもやとした気分の時にハーブティを飲むと、
 不安や緊張を抑える効果があります。
 (飲んだあと日に当たると皮膚炎を起こすことがあるので注意)
・なんとなく気分が落ち込んで元気がない時のハーブティとして。
・月経不順、月経痛にもハーブティを。治療薬にもなります。
・花ごと摘んで作った抽出液を、炎症や切り傷、火傷、打ち身、神経痛、捻挫の治療に。
 (花びらのまわりに薬効のあるオイルが含まれます)
・葉ごと摘んで抽出したオイルは香りを楽しめ、リキュールなどのお酒の香りづけに使えます。

ただし、抗うつ剤を使用している人、心臓病、妊娠中、授乳中の方は使用前に医師に相談するなど、使用には注意をするようにしてください。

セント・ジョンズワート■ セント・ジョンズ・ワートの育て方

だんだん寒くなる季節には、植物たちの苗を取り込むべきか迷いますね。セント・ジョンズ・ワートは耐寒性があるので、戸外で越冬できます。植えつけの際は、日向か半日陰の水はけのよい場所を選んで植え、土は乾燥気味に保ちます。冬の間は地植えの場合はほとんと水やりは不要です。鉢植えの場合は頻繁にあげすぎないように気をつけます。

高さは大きいものは1メートルほどに育ち、根もとは木質化します。種をまいて増やす場合は、春か秋に種まきをします。さほど難しくなく、発芽して育てることができます。

たくさんの花や葉が収穫できたら、ドライにして保存したり、オイルを抽出しておきます。言い伝えを信じて、セント・ジョンズ・デー(St. John’s Day)あたりにまとめて収穫してはいかがでしょう。花や茎を染色にも使えます。

※このコラムは、毎日新聞社さんのサイトに「ハーブの横顔」という題で、2002~2005年に掲載させていただいたものです。

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6月 13, 2011

不老不死の薬草 「セージ」

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ウッドセージハーブのセージをまだ育てたことがない方も、園芸種のサルビアならお持ちの方も多いのではないでしょうか。赤、白、紫、ブルー、ピンクなどさまざまな花色があり、花壇やコンテナに欠かせないサルビアです。観賞用である園芸種と薬用のハーブ種をあわせると、世界中に500以上の品種があります。ここでは、一般的に「セージ」と呼ばれるハーブ種についてとりあげます。セージは日本名で「ヤクヨウサルビア」と呼ばれています。

セージは、古代からその薬効で知られ、利用されてきたハーブです。特に、不老不死の薬草として珍重されました。抗酸化の強い作用があるので、老化を遅らせる効果があるのです。salviaという学名は、ラテン語の『治す、健康である』という意味から来ています。

■ セージの利用法と効能

私たちが暮らしのなかで日常的に利用したい効果がたくさんあります。

強い殺菌力は風邪をひいたときの喉の痛み、熱や、扁桃炎、気管支炎、喘息に効きます。煎出液を吸入したり、濃く出したハーブティを飲みます。収れん、痰をとる作用もあります。免疫力を高める効果もあるので、風邪が流行っているときはセージのハーブティで予防しましょう。

女性特有の症状、たとえば、月経痛、無月経、不妊、更年期障害にもよいハーブです。子宮を刺激し、ホルモンをうまく働かせてくれます。母乳を止めたいときにも効果があります。このような効果があるので、妊娠中の方、授乳中の方は摂取しないよう気をつけてください。

消化薬としても使えます。セージ特有の香りと苦味は食欲を刺激し、消化酵素を活発にするので、消化不良、下痢、腹部がはるとき、吐き気によい薬になります。殺菌作用が胃腸炎にも効き目を発揮します。

神経強壮の効果もあるので、気がめいったり、元気の出ないときには、セージの香りをかいだり、ハーブティを飲んで気分転換しましょう。

こんなセージなので、一家に一株あると心強いですね。

薬効ばかりが続きましたが、実はお料理にも欠かせないハーブ。「ソーセージ」の名前は「セージ」から来ています。豚肉、鴨肉など、脂肪分の多いお肉や、匂いの強いものによくあうのです。レバーの臭みが苦手な方は、薄くスライスしたレバーにセージを重ねて巻き、ソテー するか、油で揚げてみてください。きっとおいしく頂けるはず。

チーズとも相性がよいのがセージ。鶏のささみに切れ込みを入れ、セージとチーズ(モッツァレラでもカマンベールでも)をはさんで軽く粉をつけて、揚げるかソテーします。セージの香りのあつあつのチーズが鶏肉の中からとろーり。

セージそのものの香りを楽しむお料理も、簡単でおいしいのでおすすめです。フライパンにバターを溶かし、そこにフレッシュなセージを入れて香りづけしたものは、ゆでたじゃがいもや、パスタ、白身魚にからめると本当においしいです。そして、是非お試しいただきたいのが、衣をつけて揚げたセージの天ぷら。ビールの最高のおつまみになります。

ローズマリーやタイムなどのほかのハーブと組み合わせても、使えます。摘みたてのフレッシュなものがおすすめですが、乾燥させたものでもOKです。

パープルセージ■ セージの育て方

セージは高温多湿が苦手なものが多いです。特に梅雨時期には注意が必要。土がいつもじめじめと湿った状態を嫌います。

植えるときには、日あたりと水はけのよい場所に。軽い乾燥した土に植えつけてあげましょう。どんどん生長して伸びてきたら、適度に摘心して、支柱を立て、こんもりとなるように育てます。乾燥した土壌を好みますが、夏に乾燥しすぎないよう注意しましょう。

夏の暑さと湿度で元気をなくしがちですが、秋になると元気を盛り返してくるので、肥料をあげて株を充実させます。

コモンセージ、ゴールデンセージ、レッドセージ(パープルセージ)、トリコロールセージ、スパニッシュセージ、グリークセージ、クラリーセージ、ホワイトセージなどは、高温多湿が苦手なセージですが、耐寒性があるので、戸外で越冬させます。北風が強くあたらない日だまりに置いてください。

翌春、前年に伸びた枝の新梢に花が咲きます。花もサラダに散らして、見て、食べて、楽しめます。

園芸種をサルビア、薬用のハーブ種をセージ、と冒頭に書きましたが、ハーブ種のセージも葉色が美しいので、もちろん園芸種として寄せ植えに使うと効果的です。コモンセージの葉は、細かくやわらかい毛で覆われているので白っぽくてきれいですし、パープルセージ(レッドセージ)の赤みをおびた葉色はシックな寄せ植えには欠かせません。ほかにもトリコロールセージ、ゴールデンセージなど黄色い斑入りの葉も。セージばかりを集めた、葉色を楽しむコンテナはいかがでしょうか。

※このコラムは、毎日新聞社さんのサイトに「ハーブの横顔」という題で、2002~2005年に掲載させていただいたものです。

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6月 13, 2011

気持ちのリズムを整える 「ジャスミン」

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「ジャスミン」といえば、すぐに連想するのが「ジャスミン・ティ」。中華料理のレストランでポットにたっぷり供されて、いつもついつい飲みすぎてしまいます。脂肪の分解を助ける働きがあるので、中華料理にぴったりのお茶ですね。
このお茶に使われているのは、「マツリカ(茉莉花)」とも呼ばれる「アラビアン・ジャスミン」です。

ジャスミンを育てていらっしゃる方は、きっと「ジャスミン・ティ」よりも、すばらしい香りのお花のほうをすぐに思い出されるでしょう。香水の材料となるジャスミンオイルを抽出する花がひとつ開くだけで、甘い香りがあたりいっぱいにただよいます。鉢植えをひとつお部屋に置けば、お花の季節にはいつもよい香りが家じゅうに広がります。花束に少し加えるだけでも、香りのよい贈り物に変身します。

■ ジャスミンの利用法と効能

ジャスミンオイル(エッセンシャルオイル)には、女性に嬉しい効能がたくさんあります。月経痛、産後の虚弱・鬱(うつ)、緊張、不安、恐怖感、筋肉のこりなどをやわらげる効果があり、過敏肌、乾燥肌の方のお肌のお手入れにも適します。
(エッセンシャルオイルは、薄めてマッサージしたり、お風呂にたらして使いますが、決して飲まないようご注意ください。また、妊娠初期の方のご使用は避けるようにしてください。)

育てている方は、お花と葉っぱをドライにしてティにしても、上記のような効果を期待できます。香りのよいお花をそのまま一輪お茶に浮かべたり、お風呂に散らして優雅な時間を楽しむのもよいですね。リラックス効果があります。

気分が高まったときにはそっと鎮め、落ち込んだときには高揚させてくれる働きをもつジャスミンの香り。気持ちのリズムを整えてくれるこのお花がお部屋で香り豊かに咲いてくれていたら、心強いですね。

■ ジャスミンの育て方

日あたりと水はけのよい場所を選び、肥沃な土に植えます。寒さには少し弱いので、冬はマイナス10度以上で管理します。お部屋に入れてもよいでしょう。日光が大好きなのでお部屋の中でも必ず日の当たるところに置きます。

水を与える時は鉢底から流れるほどたっぷり与えますが、湿度が高いのは苦手です。根ぐされに気をつけてください。鉢植えで、水をあげてもすぐに乾いてしまうようになったら、鉢の中で根がいっぱいになっている可能性があります。ひと回り大きめの鉢に植え替えてあげましょう。

春の成長時期から10月ごろまでは、肥料を与えます。薄めた液肥を1ヶ月に2回ほど、お花や葉っぱにかからないように株元へたっぷりと与えます。

増やし方は、夏に挿し木するか、伸びたつるを取り木して増やします。朝早く咲いたばかりの花を摘んで収穫して、乾燥させたり、オイルにつけて保存します。

■ おまけ

マダガスカル・ジャスミンをご存知ですか? 以前、店先でみつけた大きな白い花がジャスミンのようなよい香りがするので、大喜びで購入した私。自慢げに母に見せると、『あら、それはジャスミンじゃないのよ。ガガイモ科よ』と言われ、『ガガイモ?!』と少しがっかりしたことがあります。

でも、丸い大きな葉のついたつるがどんどん伸び、大きなお花はよい香り。マダガスカル生まれのこの植物はなんだか愛嬌があります。白くて大きなお花がジャスミンに似た香りなので、この名がついているそうです。

黄色いお花のカロライナ・ジャスミンも、本当はジャスミンではありませんが、香りがジャスミンに似ているところからこの名前がつきました。元気いっぱいに咲く黄色いお花が明るい気持ちにしてくれる、アメリカの、カロライナ州出身の植物です。

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6月 13, 2011

花言葉は『隠れた美点』 「コリアンダー」

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コリアンダータイではパクチー、中国では香菜(シャンツァイ)、和名ではコエンドロと呼ばれるコリアンダー。チャイニーズ・パセリともいいますね。香りに特徴があるので、ちょっと苦手という方もいらっしゃるでしょうか。好きな人にとっては、エスニックなお料理にどうしても欠かせないハーブでもあります。

コリアンダーの歴史も他のハーブと同じく古く、3000年以上昔のエジプトの遺跡から種が発見されています。また古代バビロニア時代の書字板、古代インドの書物、聖書にも記載のあるハーブで、古代から現代まで長きに渡って栽培され、薬草、保存料などとして活用されてきました。種には食欲増進の効果があり、消化を助けます。

秘めたおまじないや不思議な言い伝えを持つハーブが多いですが、コリアンダーにももちろんあります。11粒のコリアンダーの種を身につけると受胎しやすくなるというおまじない。左のももに巻くと効果があるそうです。また、おなかに赤ちゃんがいる女性が食べると、頭のよい子どもが生まれるとか。女性の方はぜひおためしください。『アラビアンナイト』では、愛のおまじないに使われています。

■ コリアンダーの利用法

身近なところでは、やはり思う存分お料理で楽しみたいところ。葉、茎、根、種すべてをおいしくお料理に生かせます。トム・ヤム・クンなどのスープ、サラダ、タイ・カレーなどのスパイシーなお料理の仕上げに、やわらかい葉の部分をたっぷりと散らすと独特の風味が増します。
一度気に入ったら、なくてはならない存在。中華風春雨サラダにあえたり、お魚のおなかに豪快につめて蒸してもおいしいです。やわらかい茎の部分はそのままサラダにしても。

ヨーロッパでは、自家製ピクルスの風味づけに種を加え、ビスケットにすりつぶした種を焼きこんで香りを楽しみます。

種をすりつぶした自家製スパイスをいつものカレー粉に加えて、特製インドカレー、タイ・カレーをつくったり、または自家製チャツネに加えてもよいですね。ラタトゥイユに加えてもおいしいそうです。

コリアンダーの花■ コリアンダーの育て方

春にも秋にも種まきできますが、おすすめは秋です。秋まきすると、翌6月には自家製コリアンダー・シードをたっぷり収穫できます。葉っぱの収穫は花が咲く前に。種をたくさん収穫したい場合は、葉の収穫は控えめにします。

発芽が難しいと思われているコリアンダーですが、ちょっとしたコツがあります。固く丸い種をそのまま蒔くと発芽率は悲しい結果に。そこで、蒔く前の夜に、固い台の上に種を並べ、その上に厚めの板(まな板でも)を載せてゴリゴリと転がし、種に割れ目を入れます。割れ目の入った種を一晩水につけて、沈んだものを選んで蒔けば嬉しい発芽率に。

じかまきして間引きながら育てても、ポットまきでも大丈夫です。一週間ほどで芽が出揃うので間引きながら育て、本葉が数枚出揃うころに肥料を与え、冬の間、日当りのよいところで育てます。寒さには強いですが、霜に負けないように増し土し、倒れないように支柱でささえてあげます。

3月ごろからぐんぐんと枝が伸びて大きくなりますので、この時期、肥料を与え、太陽にしっかりと当てることがポイントです。収穫した葉は冷凍、種は乾燥して保存できます。

コリアンダーという名前は、ギリシャ語で『南京虫』を意味するコリスに由来しています。そのとおり、白っぽい細かい花はあまりよい香りはしません。でも熟した種はよい香りがします。コリアンダーの花言葉は『隠れた美点』です。

※このコラムは、毎日新聞社さんのサイトに「ハーブの横顔」という題で、2002~2005年に掲載させていただいたものです。

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6月 13, 2011

花言葉は『逆境に負けない』 「カモミール」

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カモミールリンゴのような甘いよい香りのカモミールのハーブティ。もうお気に入りにしていらっしゃる方も多いですね。一般的にハーブティとして親しまれているのは、ジャーマンカモミールという種類の一年草。もうひとつ、よく耳にするローマンカモミールは多年草です。ほかにもお花がたっぷり咲き、染色なども楽しめるダイヤーズカモミール、八重咲きのカモミール、お花の咲かないタイプでほふく性のものなどがあります。

このハーブの歴史もたいへん古いです。古代エジプト人は太陽や神にささげる花としてあがめ、ドイツをはじめとしたアングロ・サクソン人の住む国では、聖なるハーブのひとつと考えていたそうです。また、教会、特に聖ヨハネとも関係が深く、ヨーロッパの国では教会へ持ち寄る花束にカモミールをしのばせ、聖ヨハネの日にはカモミールのリースを玄関にかけ、カモミールなどのハーブを焚いて、悪霊を吸い取らせたといいます。

イギリスでも、「踏むほどよく育つ」植物として15世紀ごろから芝生がわりに使われていました。イギリスの庭園に行くと、カモミールがびっしりと生えたベンチがおいてあることが多いです。古びた石のいすの座席部分がカモミール。座るとふんわりと甘い香りに包まれて幸せな気持ちになります。踏まれて育つ特性から、花言葉は「逆境に負けない」なんです。

2002年のイギリスは、女王陛下のGolden Jubilee(即位50周年記念)の年で、バッキンガム宮殿で記念式典が行われました。そのエリザベス女王は即位されたとき、カモミールの入った花束を手にされていたといわれます。イギリスでは、花束の材料としてカモミールはたいへん人気があり、何世紀ものあいだ、戴冠式の際の花束にはカモミールなどのをハーブが含まれていたそうです。

■ カモミールの利用法と効能

小さな花がかわいらしく、香りもよいカモミールには、実はさまざまな効能があります。古代エジプトでは熱病、痛み、婦人病などの聖なる秘薬として、古代ローマでは解毒剤、鎮静剤として使われました。

花を薬用として、鎮痛、抗炎、解熱、殺菌、消化などに使います。ハーブティにはリラックス効果があり、眠気を誘うので、疲れきって眠れない夜、神経がたかぶった日に飲むとおだやかに眠りにつけます。ミルクでカモミールを煮出し、ハチミツを少し入れて飲んでみてください。甘い香りにうっとりします。効きめがおだやかで、小さな子どもの飲み物としても安心です。

日焼けした日にはお風呂に入れて。ひりひりとほてった肌をやさしく鎮めてくれます。花粉症やぜんそく、鼻づまりには、カモミールの蒸気を吸うと効果があります。風邪をひいたときは熱々のカモミール・ティの蒸気を吸いながら飲むとよいです。その蒸気を顔にあてると肌をやわらかく、白くする美容効果もあります。

カモミール■ カモミールの育て方

種からでも育てやすいハーブ。春まき、秋まきどちらでもよいですが、秋まきのほうが大きな株に育てやすいです。種はじかまきでOK。小さな細かい種なので、紙などにのせて薄くまき覆土はしません。秋まきの苗は小さなうちに寒い冬を迎えるので、霜よけや防寒には気を配ります。

植える場所、育てる場所は日当たりと水はけのよいところで。太陽が大好きです。4月下旬から次々に花が咲き始めます。花は1ケ月以上の長持ち。花が開いたらひとつひとつつまんで収穫します。摘んだ花をさっと洗ってお風呂に浮かべて、手軽に優雅なハーブバスを楽しむのはいかがでしょう。葉っぱはいつでも収穫できます。収穫したものは乾燥させ、びんなどの密封容器に入れて保存します。乾燥した葉をポプリにしたり枕に入れてもおすすめです。

※このコラムは、毎日新聞社さんのサイトに「ハーブの横顔」という題で、2002~2005年に掲載させていただいたものです。

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6月 13, 2011

リラックスするなら 「ラベンダー」

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『ラベンダー』カラーとも呼ばれる青みがかった美しい紫色、すっきりとした芳香で、もっとも人気のあるハーブともいえるラベンダー。育てたことはなくても、おうちのどこかにラベンダーの香りの小物をお持ちの方も多いと思います。お庭やベランダに、美しいラベンダーを植えるのがあこがれという方もいらっしゃるでしょうか。

レースラベンダー育てるのがちょっとむずかしいと思われがちなラベンダー。品種選びを工夫すれば、初めての方でも安心して育てることができます。最近は、本当にさまざまな品種を日本でも手に入れることができるようになったのは、嬉しいかぎりです。
ラベンダーは、イングリッシュ系、ラバンディン系、フレンチ系、その他プテロストエカス系と、大きく4種類に大別されます。

  • ◇イングリッシュ系:
      代表的なものにコモン、ヒドコートなどがあり、耐寒性はあるので庭に
      植えたままで越冬できるが、日本の夏にはすこし弱い。
      すばらしい香りを持ち、香水の材料や最も高品質な精油は、
      イングリッシュ・ラベンダーから採取する。
      いちばん香りがよいのは、花が咲く前のつぼみがふくらんだ頃。

◇ラヴァンディン系:
  代表的なものにグロッソなどがあり、大型のものが多い。
  成長が早く花をたくさんつけるうえに、耐寒性も耐暑性もあり、
  蒸れにも比較的強いので、初心者におすすめの品種。

◇フレンチ系:ストエカス種、デンタータ種
  代表的なものにデンタータ、エイボンビューがあり、長い楕円形の花穂の
  先端にウサギの耳のような苞(ほう)をつけ、特徴ある花の形。
  寒さや霜に弱い品種が多いが、耐暑性があり春から咲くので、
  室内で早春から花を楽しめる。

◇その他:プテロストエカス系
  レースラベンダーと呼ばれるピナータが一般的。
  深い切れ込みのある葉が美しく、四季咲きの傾向があるので、
  花壇やプランターの寄せ植えにぴったり。寒さには弱い。

ラベンダー■ ラベンダーのの利用法と効能

ラベンダーにはさまざまな薬効があります。
うつな気分、不安、緊張、神経過敏なときに気持ちにバランスを取り戻し、風邪、インフルエンザ、咳や、やけど、皮膚感染症、傷、切り傷、けがの殺菌・解毒にも使えます。偏頭痛でお悩みの方、腹部膨満、吐き気、消化不良の方の食欲増進にも。
ただし、妊婦、乳幼児には使用しないようご注意ください。

具体的な利用方法は:

・風邪をひいて熱のあるときに、ラベンダーの熱いハーブティを飲んで、
 発汗をうながし、熱を下げます。
・湿疹ややけどにはエッセンシャルオイルを薄めたものを塗ります。
 傷跡を最小限にくいとめる効果もあります。
・緊張している夜はラベンダーのハーブティを飲んだり、お風呂にオイルを
 たらしてみましょう。お風呂にゆっくりつかると緊張した筋肉もほぐれます。
 あまりの緊張で顔までこわばっていたら、薄めたオイルでやさしくマッサージ。
 ハーブバスにはリラックス効果とともに肌を若返らす効果もあります。
・ストレス性の頭痛には、花の浸出液を1日3回飲むと効きます。

育てて収穫した花をドライにしたものを、ハーブバス、ハーブティ、ハーブピロー(枕)、ポプリ、ドライフラワーなど、日ごろの暮らしに取り入れるのも、育てているならではの楽しみです。ラベンダーのポプリにはハエよけの効果もあるのです。

清潔さをイメージさせるラベンダーの香り。ヨーロッパの女性たちは、アイロンの際、ラベンダーの香りのリネン・ウォーターを好んで使います。ラベンダーの香りのシーツにつつまれたら、リラックスしてぐっすり眠れそうですね。

■ ラベンダーの育て方

水はけ、日あたりのよい、ひろびろとして蒸れにくいところに植えます。盛り土をすると水はけがよくなるのでおすすめです。砂の混ざった石灰質の土を好みます。肥料は控えめに、がポイントです。

増やし方は、春に種まきをするか、春か秋に若い木質化していない枝を挿し木します。生長にしたがって鉢をだんだん大きくしながら育てます。毎年開花後に脇芽のすぐ上で上部1/3くらいを切り戻すと、こんもりと形のよい株になり、翌春伸びてきれいに花が咲きます。

高温多湿の夏が苦手な品種が多いので、夏の間は朝日があたる程度の涼しい風とおしのよい場所におきます。乾燥気味が好みですが、鉢は乾燥しやすいので、極端な乾燥に注意しましょう。秋になって日ざしがやわらいだら、またよく日の当たる場所に移し、暖かい日だまりで越冬させます。冬の間、日あたりのよい室内に入れてもよいです。

※このコラムは、毎日新聞社さんのサイトに「ハーブの横顔」という題で、2002~2005年に掲載させていただいたものです。

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6月 13, 2011

幸せを呼ぶハーブ 「ワイルド・ストロベリー」

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ワイルド・ストロベリー 「幸せを呼ぶハーブ」として、すっかり人気のワイルド・ストロベリー。いっときはどこででも売り切れ状態になるほど、世の中の女性たちが買い求めたとか。もうすでにお持ちの方もいらっしゃるでしょうか。小さなかわいい実なのに、びっくりするほどよい香りで甘いワイルド・ストロベリー。幸せになるうえに、開花期が長く次々と実をつけ、葉っぱにもさまざまな効能のある、優秀選手のハーブです。

ワイルド・ストロベリーは、英国ウェッジウッド社のテーブル・ウェアにも人気の定番モチーフとして描かれています。ギザギザと野性味のある葉、黄色い花芯を持つピンクの小さな花と赤い実が描かれたティーカップは、その名もずばり「ワイルド・ストロベリー」シリーズと呼ばれています。

また、ワイルド・ストロベリーには白実のものもあります。実の色が目立たないので、鳥たちにみつけられずに収穫できるのが魅力。赤いものより、もっと甘いという噂も。

■ ワイルド・ストロベリーの利用法と効能

果実はそのままおいしく頂いたり、ジャムを作ったり、パイのフィリングにしたりして楽しめます。香りがとても良いので、リキュールの風味づけにするのもおすすめです。姿かたちもかわいらしいので、デザートの飾りつけにもぴったり。真っ白なブラマンジェのトッピングにミントの葉とともに一粒添えるだけで、おもてなし料理をしめくくる素敵なデザートになります。ジャムを作るためには、収穫のたびに冷凍保存して必要な分量を集めます。

おいしいだけでなく、果実にはビタミンCとミネラル、鉄分が豊富に含まれているので貧血対策になり、腎臓や肝臓も強くしてくれます。一方、葉っぱには、消化促進、整腸、血液浄化、強壮、利尿作用や、食欲不振、精神安定、肌荒れ、リューマチ等の症状を和らげる効果があります。

ただし、ワイルド・ストロベリーの葉は十分に乾燥させない生乾きのうちは毒素を持つともいわれます。しっかり乾燥させればまったく心配はありません。十分乾燥させるほうが、生のものよりも栄養成分が増すので、さまざまな効能も期待できます。

ワイルド・ストロベリーの葉だけで飲みにくいときは、他のハーブとブレンドしたり、香りの少ない紅茶葉に混ぜたりするとよいです。カップに注いでから赤い実を一粒しずめると、香りもよくおいしくなります。

ワイルド・ストロベリー■ ワイルド・ストロベリーの育て方

耐寒性のある常緑の多年草なので、一度株を手に入れれば長くつきあえるハーブです。香りよく甘いワイルド・ストロベリーをお持ちのお知り合いがいらっしゃったら、ランナーを分けてもらいましょう。種からでは同じ株が育たない場合が多いのですが、ランナーなら確実に、同じようにおいしい株になります。ランナーの出ないアレキサンドリアは、株分けをして殖やします。同じ場所、鉢での連作はできないので、2年おきに植え替えをしてあげます。

たくさん株がほしいという方は、種まきを。発芽に適した温度は20度前後なので、4~6月か9~10月がまきどきです。光を感じて発芽する性質で種も小さいので、覆土はせず霧吹きで十分に水を与えます。土は水もちのよい軽いものを使います。ピートモスなども向いています。春にまいて生長具合がよければ、1年目の秋には実をつけはじめますが、甘いたくさんの実をつけるのは2年目以降です。

ワイルド・ストロベリーは乾燥に弱いので、土が乾いてしまう前にたっぷり水を与えます。日あたりのよい所で、湿り気のある、栄養分を多く含んだ土で育てると実をたくさんつけます。肥料も大好きなので、実が実ったら肥料を忘れずにあげてください。真夏の直射日光は極度の乾燥を招きがちなので、注意します。

※このコラムは、毎日新聞社さんのサイトに「ハーブの横顔」という題で、2002~2005年に掲載させていただいたものです。

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6月 13, 2011

『勇気』の象徴 「タイム」

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レモンタイムタイムには数百もの種類があり、立性とほふく性(這うように伸びるタイプ)の大きく2つに分類できます。最も一般的なコモンタイムは立性で、生長につれ茎が木質化し、草丈は30~40センチほどになります。煮込み料理に欠かせないハーブとして常備されている方も多いですね。

ほふく性のものは横に這うように伸びて広がり、お庭のグランドカバーとして大切な存在。細かく小さな葉は、濃いグリーン、ライムグリーン、黄色の斑入り、白の斑入りなど、色の種類も多いので、色の異なるものを交互に植えて、パッチワークのような庭をつくることもできます。

タイムはシソ科の植物で、和名は『ジャコウソウ』といいます。学名のThymusは、ギリシャ語で『勇気』の意味をもつthymonから来ています。花言葉は『勇気』。古代ギリシャ時代には、兵士たちが勇気を出すためにタイムのハーブバスに入ったり、いけにえを捧げる際に祭壇でタイムを焚いて使ったといわれます。中世ヨーロッパでも、『勇気』『活動』の象徴として、刺繍などのモチーフになりました。

ときには鋭さを感じるほど強く香るタイムには、ティモールその他のエッセンシャルオイルが含まれています。このオイルには強い殺菌力と免疫性を強化する作用があり、興奮作用効果もあります。古代ギリシャから『勇気』の象徴とされていたのはこの効果によるものでしょう。

ブーケガルニ■ タイムの利用法と効能

タイムの殺菌・消毒作用は、わたしたちの生活の中でもちろん生かせます。風邪をひいてのどが痛く、痰がとれないときには、タイムのハーブティをお試しください。はちみつを入れて飲むと、せき、風邪、のど荒れの症状によく効きます。タイムには消化促進の作用もあるので、食後のお茶としてもぴったりです。飲みすぎた夜や二日酔いの朝に一杯飲むとすっきりします。

タイムだけでは飲みにくい方は、紅茶の葉をいつもより量を少なめにして、タイムをひと枝加えてみましょう。そのときは、アールグレイなど独特な香りのある茶葉を使わないほうがタイムそのものを楽しめます。もちろんティバッグでもOK。

ハーブを使ってご自身でクリームやローションを作られる方は、タイムのマイルドな消炎効果をにきび対策に利用できます。また、お風呂に入れると筋肉痛に刺激効果があるので、たくさん走った後や、ひさしぶりにからだを動かした日、スポーツジムでがんばった夜には、タイムのお風呂で一日の疲れをとります。

ただし、子宮に刺激を与えてしまいますので、妊娠中の方、とくに初期の方はタイムは摂取しないようご注意ください。

お料理でのタイムの使い方も少しご紹介しましょう。フレッシュなものがもちろん香りがよいのですが、生育旺盛な香りのよい時期にたくさん刈り込んで乾燥させておいても十分利用できます。タイム、ローズマリー、ローレル(月桂樹の葉)などを束ねた、シチューやスープに欠かせない『ブーケガルニ』。いつでも使えるように乾燥させて保存しておくと便利ですね。

生のものを使える時期は、是非フレッシュな風味をそのまま楽しんでください。サラダにつかったパセリの茎やセロリの葉を一緒に束ねて煮込み料理に加えると、おいしく、香り高く仕上がります。タイムは長時間熱を加えても香りが変わらないので、煮込み料理の風味づけに適しています。

小さな葉をこそいで刻み、バターやチーズに混ぜて使うのもおすすめです。バター100グラムに刻んだタイム大さじ1杯くらいが目安。お好みで量を加減してください。少し室温でやわらかくしたバターやクリームチーズに練りこみ、時間をおいて味をなじませます。パンに塗ってカナッペ風でも、チーズはそのまま食べてもおいしくて、冷やした白ワインとの組み合わせは夏のおもてなしにぴったりです。お酒に弱い人はりんご味のシードルをちょっぴり飲んでみてください。レモンの香りのレモンタイムを使うとさわやかな香りが楽しめます

タイムは野菜、肉、魚、卵など、あらゆる材料と相性がよいので、さまざまなお料理に利用できます。ローズマリー、セージなどの他のハーブと組み合わせると、お料理がますます楽しくなります。刻んだものをパン粉に混ぜて揚げ物にしたり、ひき肉に混ぜてソーセージを作ったり、マリネ液をつくって鶏肉やえびを漬け込んでから焼いたり。刻んでいる間もキッチンにはよい香りが広がります。ひと枝を小さなびんにさして食卓に飾り、、その姿を見ながらの食事もいいものです。育てているからこその楽しみですね。ご家庭に1~2株は必ずほしい基本のハーブのひとつです。

タイムの花■ タイムの育て方

タイムは温度さえ適温(15~20度)に保てば、いつでも発芽します。一般的には春(3月中旬~6月)と秋(9~10月)に種まきしますが、秋まきは苗が小さいうちに冬の寒さにあたるので、春まきがおすすめです。早めの春にまいておけば、梅雨ごろには大きく生長して利用できます。株分け、挿し木で増やすことも簡単です。

タイムはじめじめとした湿気が苦手で、どちらかというと乾燥気味が好きです。日当たりのよい場所を選んで、水はけのよい軽い土に植えます。暑さには比較的強いのですが、真夏には木陰になるような場所で直射日光はさえぎるようにして休ませるほうが安心です。特に日本の夏は湿度が高いので、高温と湿度で株が弱りがち。繁り過ぎたところを切って風通しよくしてあげます。梅雨前にも思い切って刈り取ります。気温の上昇とともにどんどん生長するので、窒素を控えたリンとカリの多い肥料を追肥します。

香りよいタイムを保存したい方は、開花すると葉がいたむので、開花直前に刈り込んで乾燥させます。刈り込んでしまっても大丈夫。ちゃんと新しい芽が出て株が充実します。虫はつきにくいので、多湿による蒸れさえ気をつければ、育てやすいハーブです。秋に紅葉する種類もあります。

冬の間は戸外の日だまりに置いて越冬できます。生育はとまりますが、極端に乾燥させて枯らしてしまわないよう水やりを忘れずに。逆に水のあげすぎは根を腐らせてしまうので、晴れの日が続いたら注意して様子を観察してから水をあげましょう。

摘みたてのタイムは、小さな葉のみずみずしさはもちろん、ゆるくカーブした細い茎が実にいい形をしています。その形をそのまま、小さなハンバーグや、ホットケーキ、ビスケット、スコーンなどに貼りつけて焼くと、いつもとちょっと違った趣と香りを楽しめます。硬い茎を使うと、口に残ってしまうのでやわらかいや穂先を使ってくださいね。

※このコラムは、毎日新聞社さんのサイトに「ハーブの横顔」という題で、2002~2005年に掲載させていただいたものです。

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6月 13, 2011

恋の媚薬 「ニオイスミレ」

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ニオイスミレすっと首をあげたような小さな小さな花が可憐なニオイスミレ。スイートバイオレットとも呼ばれます。名前のとおり、甘い香りが特徴です。ハート型の濃い緑色の葉は常緑。寒い冬の時期も葉を落とさず、品種や環境によっては、真冬でも花を咲かせているので、冬の庭の大事な存在です。

この花は、シェイクスピアの「夏の夜の夢」のなかで、恋の媚薬として登場しています。スミレの花びらを搾り、そのしずくを静かに眠っている好きな人のまぶたにそっと垂らして、目覚めるのを待ちましょう。目が覚めたその人は、最初に目にした人に恋をすると言われています。そんなロマンチックな言い伝えがあるハーブです。

■ ニオイスミレの利用法と効能

春先にニオイスミレをたっぷり使った小さな花束は、甘い香りの素敵な贈り物。紅茶に浮かべれば、ほんのりと甘い香りを楽しめます。エディブルフラワーとして、サラダに散らしたり、砂糖漬けにしてケーキなどお菓子の飾りづけにも使えます。ニオイスミレの砂糖漬けは、そのまま食べてもおいしいのが魅力です。香りがよい咲いたばかりの花をお酒につけるのもよいです。

また、花や葉、根を使って薬用効果を期待できます。花や葉を使ったハーブティは、口内炎、呼吸器の疾患に効き、咳・痰などをやわらげます。催眠作用があるので、眠れない夜や、風邪かなという時に飲んでみましょう。いらいらした頭痛もすーっとひきながら、穏やかに眠りにつけます。

花のシロップはやさしくおなかに効く下剤になります。ハーブティでも効果があるので、おなかのゆるい方は飲みすぎないように。

乾燥させた根の浸出液や煎じ液は、気管支炎に効果があると言われます。

ニオイスミレ■ ニオイスミレの育て方

耐寒性があり、日陰でも育ち、ほふく性でどんどん増える、育てやすいハーブです。大きな木の下、ちょっとじめっとして日あたりの悪い場所に何を植えようか悩んでいた方にはぴったり。

肥沃な湿りけのある土に植え、乾燥しないように気をつければ、鉢植えでも地植えでも大丈夫です。増えたら春に株分けします。いつのまにかびっくりするほど増えるのが特徴でしょうか。ハート型の葉の間からすっとのびた細い茎のところどころに根が出て、ひょろーりひょろーりと増えていきます。地中でも横へ横へと根を伸ばしています。

耐寒性があるので、冬の間も室内に取り込む必要はありません。暖房のきいた部屋に入れると、温度が高すぎて花が咲かなくなってしまいます。春の終わり頃につく、閉鎖花と呼ばれる花の咲かない蕾は取り除きましょう。

宿根ビオラという品種があります。花期は長いけど、一年草でちょっと寂しい気持ちのするビオラを、耐寒性のある宿根草であるニオイスミレと交配させて、宿根ビオラにしたものだそうです。見た目はまったく普通のビオラです。ニオイスミレに比べて大きめの花のビオラは、玄関先に映えます。でも、可憐なニオイスミレの花は、和の器にもあうしっとりとした上品さがあります。ぜひ育ててみてください。

※このコラムは、毎日新聞社さんのサイトに「ハーブの横顔」という題で、2002~2005年に掲載させていただいたものです。

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6月 13, 2011

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こちらのブログから順次移行予定です。
2002~2006年のチェルシー・フラワー・ショウ、タットンパーク・フラワー・ショウ、ハンプトンコート・フラワー・ショウについて書いています。

一番詳しい2002年のショウのリポートはMainichi INTERACTIVE(毎日新聞さんのサイト)に連載したものです。

6月 11, 2011

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こちらのブログから移行準備中です。
Mainichi INTERACTIVE(毎日新聞さんのサイト)に2002年に連載したものです。

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